うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2008年05月28日
XML


牛肉など食材の産地偽装、客の食べ残しの使い回しなど、セコイといえばセコイが、ゼニのためなら客も泣かして、ゴーマンかましてやりたい放題、デタラメ三昧で全国に名を馳せた名門料亭「船場吉兆」が廃業に向うことは、ある意味、世間の自浄作用ともいうべき社会的制裁メカニズムが鮮やかに作動したものであるといえる。

悪い奴らは必ず滅ぶという、単純明快・勧善懲悪、「水戸黄門」パターンの明るいナショナル、いや明るい結末であったと言っても、あながち詭弁ではないであろう。

正義という概念が、(数学でいう集合論的な見方をすれば)現代においてはやや境界線がぼやけてきているという人もいるが、少なくともその中核的な(コアな)部分は、今なおそんなに複雑なものではないと思う。

基本に鎮座しているのは、やはり人様への思いやりとか優しさとか謙虚さとか、世間様、“お天道様”への畏敬の念とか、まあそういったようなものではないだろうか。

世間というものが底流に持っている、悪徳に対するもやもやとした鬱勃たる報復感情も、わざわざの司法行政の重い腰とご足労を俟たずに、マーケット(市場)メカニズムの需要と供給のバランスの中で解消され、一応の決着がついた。

何でもかんでも警察、裁判沙汰というのも能がないと思うしね

まずはすっきりしゃっきり、めでたしめでたしではある

・・・と同時に、この一連の事件は、多くの教訓を残したことでも、なかなか鮮明な記憶に残るものになりそうだ。

企業でも個人でも、不祥事や不始末に際しての対処、すなわち危機管理を一歩誤ると、こういうことになりますよ~という見事な事例を、身を以って示し警鐘を乱打してくれた。

多くの人が指摘している通り、「船場吉兆」には立ち直りのチャンスが間違いなくあった。

初期段階で全てのウミを出し切り、再発防止策を速やかに策定して青天白日のもとに明らかにし、経営陣の引責辞任と総入れ替えをやっておけば、人心一新、新規まき直しと「雨降って地固まる」的展開も可能だったと思われる。

軍事理論では、「兵力の逐次投入」が“負けいくさの秘訣”だと言われている。
軍事が、広義の政治の延長であることは、孫子やクラウゼウィッツなどの名著でよく知られているが、これすなわち、究極の危機管理の問題でもある。

やる時には、断乎として徹底的にやるべきである。
というか、やらざるべからず。
やるからには、乾坤一擲の大作戦をやるべきである。
関が原の徳川家康である。

・・・ところが、船場吉兆は「醜聞の逐次小出し」になってしまった。
最低最悪の見本市だったといえよう。

また、「ミートホープ」の、いかにも腹に一物ありそうなガラの悪いタヌキおやじと違って、いかにも名門のお嬢様然としてリュウとした和服を着こなした湯木社長の曖昧かつ不明朗な去就、平たく言えば“居座り”は、まさに老醜そのものであり、見るに堪えざるものだった。

これほど企業のコンプライアンス(遵法)やディスクロージャー(情報公開)、経営プロセスの透明化などが叫ばれているご時世が、全く他人事(ひとごと)にしか見えてなかったのであろう社長率いる企業は、社会から退場することが唯一の責務だったと言えよう。

インタビューでの傲慢かつ“腹話術ショー”も顔負けの拙劣な対応は、後ろを向いたとたん「あっかんべ~」をしていることが(見たわけじゃないが)見え見えであり、渡る世間をナメ切っており、聴衆満座の失笑を招くとともに、義理人情に厚い大阪人をして「こりゃダメやわ~」と地団駄踏ませて悲憤慷慨せしめるほどの、猿芝居と言っては猿に失礼なほどの茶番劇であった。

罪、万死に価する。

ところで、かなり話が飛躍するが、ここで真っ先に連想されるのは、中国という大国の振る舞いである。
彼らは、偉大なる文明を築いた祖先に恥ずるところはないだろうか。

平気で政治的ダブル・スタンダード(二重基準)という二枚舌を駆使し、クロをシロと言いくるめても一切自分の非を認めようとしない、あの傲岸不遜の極致の独裁国家ぶりを見ていると、やっぱり、遅かれ早かれ何がしかの臨界点、消失点(バニシング・ポイント)に達することは必至だと思うのだ。

・・・それが何であるか、どういう形になるかまでは、まだ考えがまとまっていないが。

なお、今回の一連の報道では、マスメディアの活躍にも目を見張った。
「食べ残し(悪く言えば「残飯」)使いまわし事件」も、鬼をもひしぐ読売新聞大阪社会部のスクープだったようだが、それをその夜のNHKが大きく時間を割いて大々的にフォローするなど、各社が競うように叩きまくったことは、見ていて小気味良かったよ~ん
やっぱ、マスコミもやるときゃやんないと。

悪はこのように自滅する。
一罰百戒、天網恢恢疎にして漏らさず。

・・・・なお、僕は性格が、よく言えば素直というか単細胞なので、なんのヒネリもない単純な文章になってしまいました~
何とぞご寛恕をこいねがいます

末筆になるが、テレビのインタビューなどで、それなりに断腸の思いだったろうに、疑惑に誠実に答えていた、腕に覚えがあるであろう板前さんたち(・・・おそらく、彼らが今回の報道の情報源であったか?)や仲居さんたちは、全く気の毒というほかはない。

せめて、彼らの後半生には幸あれと、蔭ながら祈らずにはいられない





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年02月11日 11時38分54秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

くまんパパ

くまんパパ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

くまんパパ @ J-POPシーンに大型新人の登場か やすじ2004さん、なんかJ-POPシーン…
やすじ2004 @ Re:離婚伝説  ファーストキス(11/22) こんにちは 離婚伝説ファーストキス、面…
くまんパパ @ 一つの見果てぬ夢 やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:星野源  ユリーカ(10/27) こんばんは 星野源の音楽についてのブロ…
くまんパパ @ ご訪問ありがとうございます 大腸がん再発転移さん、ご訪問ありがとう…
大腸がん再発転移@ Re:星野源  マッド・ホープ(10/25) 大腸がん再発転移は、0896234362 です。
くまんパパ @ ふとこの曲が浮かびました やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
くまんパパ @ 朝晩はだいぶ肌寒くなりました やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:松田聖子  風立ちぬ(10/08) お疲れ様です! 今日は落ち着いた天気でし…

サイド自由欄

*このブログサイトは、ご覧の端末によっては管理者の意図するフォント(書体)やレイアウトが正確に表示されない場合があります。ご了承下さい。
なお、フォント表示の設定は、(ウィンドウズの場合)左下のスタート・アイコンから入って、設定(歯車)→個人用設定→フォント入力の画面で出来ます。


新宿会計士の政治経済評論
アトリエぺんちゃん
山下達郎 サンデー・ソングブック
松村邦洋 DJ日本史
東洋経済オンライン
世界は数字で出来ている
お料理速報
パンドラの憂鬱
Forbes スピリチュアルババア
goo 教えて!goo

お気に入りブログ

2025秋旅 九州編(15… New! ナイト1960さん

中宮定子の母親と関… New! しぐれ茶屋おりくさん

自宅療養記・6年ぶり… New! けん家持さん

本屋さんの後は二人… New! masatosdjさん

妄想の世界で遊びな… New! G. babaさん

散歩で出会ったお花… 蘭ちゃん1026さん

承認欲求がない人も… こばんどり*統一教会の宗教被害二世さん

やれやれ ミセスkarimeroさん

沖縄戦線異状あり !? 背番号のないエースGさん
システムエンジニア… モモンガ2006さん

カレンダー


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: