名作落語大全集
【粗筋】
幇間の一八、女房子を捨てて色女と駆け落ち、モテてモテてしょうがなく、女道楽が過ぎて幇間にまで身を持ち崩したという話をする。本当かどうか分からないので、試してみようと、茶屋の若い衆に頼んで、子連れの女乞食を雇って、昔の女が訪ねて来たと知らせる。一八が下に行くと、女乞食が、「私はあんたに捨てらえた女房じゃ。どうしてくれる」とすがりつく。一八びっくり、花街に人が集まって外聞が悪いし、「お前なんか知らん。帰れ」と言うが、女乞食は全く引かない。とうとう羽織を一枚やって、ようやく追っ払った。二階に戻ると旦那や芸者、みんなが大笑い、実はこうこうと種明かしをすると、
「多分そんなことだろうと思いました」
「分かっていたと言うのか。それなら何で羽織をやったんだ」
「あの羽織は旦那さんのです」
【成立】
上方では「裏の裏」という題もある。だましたつもりがだまされるということか。「乞食茶屋」「花見の幇間」とも。「旦那の羽織」はネタバレになってしまいそうだ。林家彦六(正蔵(8))が、三遊亭円右(1)の速記で覚えたと言うが、速記とは全く違って、幇間の一人語りで演じた。この前に村上元三が彦六のために「按摩」という落語を書いて贈ったが、これが一人語りだった。この噺はそこから演出を思い付いたのだろうか、新聞記者が幇間のところへインタビューに来て、落語家だったが、不景気で寄席に客が来ないので幇間になり、色々な旦那の遊び方、幇間の心構えなどを語って行く。一八ではなく半八としていた。
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