名作落語大全集

名作落語大全集

2025.10.06
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カテゴリ: 落語
【粗筋】

「権助に色目を使って、身を任せろ。そうすると鼠が苦しんで、権助のモノに食いついて出て来るだろう」
 という。無茶苦茶なやり方だが仕方がない、さっそく権助を引っ張り込んで実行すと、思惑通り、権助の一物に食いついた。びっくしりた権助、
「旦那に知られたら大変だから、田舎に帰って百姓をする」
 と言うので、旦那と妾が選別を送る。権助の方は、なぜか思いもよらぬ大金をもらって田舎に帰ると、回りは女房をもらえと勧めるが、権助は女のあすこは食いつくから怖くてもらえない。あまり強く勧められて、とうとう断れずに結婚したが、その夜、
「女のあすこには鼠がいるから、食いつきゃしねえか」
 と言うと、花嫁が、
「そんなら、おめえ様、見てくれ」
 と言う。権助が覗いて、


【成立】
 丁大一が昭和7(1932)年に裏出版した朝鮮の笑話集『冥葉志諧』の「寡婦と鼠」が同じ噺で、これを桂春団治が落語に仕立てたものとされる。桂米朝が春団治から教わったものは、大根で梁型を作り、二度目で成功して、入れたまま寝てしまい、鼠が大根をかじってそのまま中に入る。以下同じ筋立て。林家染五郎(3)が得意にしていた。
 上方では、女が慰めるのに指より茄子や芋がいいなどと議論し、長芋がヌルヌル、ウジウジでええ具合という結論になる。これを聞いた御寮人はんが試してみる。気持ちよく入れたまま寝てしまうと、鼠がかじってそのまま入ってしまう。そこで権助を騙して入れさせると、新しい長芋だと思って鼠が食いつく。権助は大金をもらって田舎に帰り一躍お大尽に……しかし、女の中には鼠が住んでいるというのがトラウマになっていて……とにかく詳しく、「長芋」の題もある。大筋は同じ、
 バレ噺でもここまで来ると寄席では出来ない……と書かれているが、聞いたことがある。
 桂文治(9:トメさんの)がよく演っていて、「いいえ」とこれが得意だと言っていたそうだ。ところが寄席では出来ないし、お座敷でも祝儀をはずまないと演ってくれない。横浜に初めての落語スナックが出来、川戸貞吉が「いいえ」を注文した時、文治はこの「鼠の耳」を演じ、ネタ帳には「ねずみ」と書いておいてくれと頼んだそうだ。

【蘊蓄】
 『春色忍ヶ岡』に「実長淫婦に多しといふ」とある。「実長(さねなが:女性のあすこ)」が鼠の耳のように大きいのをいう。








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Last updated  2025.10.06 05:21:19
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ヌ−ベルハンバ―グ@ Re:落語「ね」の14:猫忠(ねこただ)(09/24) 初めてコメントさせ頂きます。 六代目・三…
名無し@ Re:落語「と」の86:とろろん(05/12) 「デロレン左衛門」は「デロデン祭文」では…
モルモタマ@ Re:65:油屋猫(あぶらやねこ)(10/21) これは小咄で、桂米朝が小咄ばかりを演じ…
背番号のないエース0829 @ 日比谷公園 「日比谷焼き討ち事件」に、上記の内容に…
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