mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2006年12月06日
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石畳から伸びる柱、人が隠れるに充分な幅の頑丈な柱が天井を支える。

柱の影に膝を付き、中央の戦いを伺うアルテミス。戦況は一進一退の攻防が続いていた。
激しく打つ胸の鼓動を抑え、アルテミスが柱の文様に手を当てると柱から光が文様に沿って溢れ
アルテミスの脳裏に言葉が刻まれる。

---我、赤き旅人の守護者なり。
---ここに赤き宝剣の力、封印せし
---真の赤き旅人が触れし時、その力開放せん
---その力、そよ風の如き
---その力浴びて、赤き宝剣、輝き増さん



_アルテ、次だなこの柱の封印は解けたみたいだ。

_うん。

柱の影からガラテアと正宗、村正の戦いを覗き込む。最初に一撃で飛ばされたことを思うとかなり善戦
している。素早い動きで左右から交互に攻撃を繰り返し、ガラテアを翻弄していた。

「ゴメンね、もう少しお願い」

小さな声で二匹にお礼を言う。もちろん聞こえる訳でもないが、アルテミスは感謝の気持ちを表したかった。
その隙に次の柱へと移動する。同じように柱に手を当て、文様の声を聞く。

---我、赤き旅人の守護者なり。
---ここに赤き宝剣の力、封印せし
---真の赤き旅人が触れし時、その力開放せん
---その力、優しき光の如き


さらに、次々と柱の文様を開放するアルテミス。

---我、赤き旅人の守護者なり。
---ここに赤き宝剣の力、封印せし
---真の赤き旅人が触れし時、その力開放せん
---その力、強き鋼の如き


---我、赤き旅人の守護者なり。
---ここに赤き宝剣の力、封印せし
---真の赤き旅人が触れし時、その力開放せん
---その力、雷の如き
---その力浴びて、宝剣、全てを貫かん

何度目か柱のを開放した時、遂に赤き宝剣の謎がアルテミスには理解できた。

_メタビー、私わかったの。

_何が?

_赤き宝剣が何処にあるかよ

_マジか!

_うん
_私は知ってたのよ赤き宝剣の場所。それはず~と近い場所で私を守ってくれてたの。
_多分、間違いない。この空気感。これは私が初めてこの世界に触れた時にも感じた。
_きっと次の柱で証明出来る。そんな気がする。

アルテミスは急いで次の柱に向かい、抱きしめるように柱に触れた。ガラテアは正宗と村正の猛攻で
アルテミスの存在にすら意識が向かわない。

---我、赤き旅人の守護者なり。
---ここに赤き宝剣の力、封印せし
---真の赤き旅人が触れし時、その力開放せん
---今こそ、我が全ての願いを託し、宝剣の真の姿を現さん
---願わくば、この宝剣をてにし旅人、時を超え
---我ら古代の血族が犯した過ちを償うこと、せつに願わん

カッ!

部屋の中央が眩い光に包まれる。それぞれの柱が呼応したように文様から光を発し、それぞれが一本の
光の束となり、部屋の中央へと差し込む。その光は白色からやがて清らかな朱色へと変化していく。
その光は二匹のファミリアへと注がれていた。

_まさか!正宗と村正が宝剣なのか?

_たぶんそう。赤き二対の宝剣。それは私が初めて出合った魔獣達。
_そして、いつも守ってくれている子達なの。
_二人の事なのか、種族そのものが赤き旅人を守る存在なのかは解らないけど。

_ふむ、ならば部屋の主は魔獣使い、ビーストテイマーか?
_時を超えとか言っていたが?

光を注がれた正宗と村正の身体に変化が現れる。その身体は真に赤き宝剣の様であった。
赤き身の二匹は速度を増し、ガラテアを容赦なく攻撃する。一瞬怯んだガラテアは防戦一方となる。
しかし、それでも赤き獣と化したガラテアは強く一向に倒せる気配がない。

_加勢するぞアルテ!

_まって、まだ何か来る。天井から光が何本も伸びてくる。

確かに、青い光が何本も天井から降りてくる。その天井には優しげな女性の顔が浮かび上がる。
その女性が青い光に声を掛ける。

「さぁ、可愛い私の子供達よ少し力をかしておくれ」
「ポチ、マークイン、サンペーター、ホークス、スーズー、さぁ長き眠りより覚めなさい」

青い光の中から、ファミリアより少し小さく紫がかった魔獣と、蟹の姿をした魔獣、人の姿に短剣を
もった魔獣、二足歩行する大剣をもった鳥の姿をした魔獣、鎧を纏った骸骨の姿の魔獣が現れ、ガラテアを囲む。

「さぁ、これで暫くの間は大丈夫です。私の話を聞いてくださいますか。遠い未来の赤き旅人よ」

柱からの赤い光、天井からの青い光が幻想的に部屋を包み込む。
氷の中の女性の表情が少し穏やかになったようであった。


赤石物語
(Blackworld and Redstonestory)

~古都の南風 傭兵の詩~



ザードフィルの居城、その牢に数人の子供達が閉じ込められている。

「どうやら、この扉は呪文によって封印してあるみたいね」とメイヴィ

「ああ、俺の技術では鍵は外せなかった」とノラロー

「でもいいこと、ノラロー。今後、鍵は無理に外さないで。トラップが爆発したら、みんな死んじゃうわ」
「それ以外の方法を探しましょう」とメイヴィ。

「それなら、鍵を探しましょう。私ならここを出られるわ」

めるもが懐からステッキを取り出すと、光を発し姿を消しその中から白い兎が現れた。
周りの子供達からは驚きの声が漏れる。

「ふふ、可愛いでしょ。この階の何処かに鍵があると思うの。探してみるわ」とウサギ。

「お願い、でも気を付けてね。危なくなったら直ぐに戻ってきて」とメイヴィ。

ウサギの姿となっためるもは扉の鉄格子の間を潜り、子供達の願いと共に走っていった。



「インターの奴、なんだかんだ言いながら扉を壊したままにしていったな」と楸。

「ああ、本来、あいつは悪ではない。ただ純粋に強さを求めてるだけだからな」と花火。

「ただし、彼の言っていることが正しいことと、周りの人が不快に思うことは違う」とフクチ。
「私は軍に在籍し、多くの部下達を率いてきた。当然、戦争行為の中、軍律は厳しい」
「でも、人は律を厳しくすればするほど、あざとくなる。その内、軍律の文字にのみ従い」
「当然、人が思うべき、当たり前の気持ちを忘れてしまう」
「道とはそんな物ではない。なににも縛られていない君達の方が人々のことを愛する気持ちに長けている」
「悲しい現実だ。本当なら軍隊に法律などいらんと思いたい」
「人々を救いたい気持ちの有志が集まった中、本来の目的を果たすため、同じ方向を見ているのだからな」

フクチが残念そうに頭をたれる。

「遠い昔から、人は群れを作って生きてきた。元来助け合って生きる本能を持っている」
「そして、この世界もそう。大地と水、光と植物。皆お互いに助け合い生かされている」
「本来、我々プレイヤーが一番その事を解っているはずだね」
「今のこの世界の悲鳴もね」

花火が悲しげな顔で答える。

「世界の悲鳴?」と楸。

「ああ、その事に一番初めに気が付いたのは多分ザードフィル、彼だよ」

花火が意味ありげに答えたが、楸とフクチにはさっぱり理解出来なかった。その答えについて
問いただそうと二人がした時には、廊下の遠くから聞こえる足音で一同の会話が途絶えた。



塔の一室、そこにロウ・ヴァイオレットとジェイクリーナスが立っている。
蝋燭に照らされた顔は不気味に陰影が付き、表情は笑っていいるのか、強張っているいるのか解らない。
そこに、一人の男が影から浮き出るように姿を現す。

「Jブランクか」とロウ・ヴァイオレット。

「はい、け、剣聖さま」

Jブランクの声は震えている。怯えるように身をかがめ、ひたすら頭をたれる。

「影が、スパイがその存在を知られるとなると問題だな」

厳しい目つきでJブランクを睨む。

「は、はい。どうかお許しください。剣聖の奴、まさか私の存在に気付くとは夢にも」

「まぁいい。今日は下がれ」

ロウ・ヴァイオレットの声に安堵の息を吐き、Jブランクが扉に向かう。

ザク!

Jブランクの背後から闇の黒き太刀筋が襲う。言葉もなく息絶えるJブランク。

「失態は許さんよ、それが闇の掟だ。お前も承知していただろう」

冷たい視線を床に転がるJブランクの身体に向ける。ジェイクリーナスは眉一つ動かさずに見届ける。

「これからどうする?ザードフィルの祭りに付き合うのかい?」とジェイク。

「いや、契約は終わった。確かに闇を仕切っているのは奴だ。しかし、全ては契約の元ってだけだ」
「闇に生きる者は群れたりしない。利害関係で敵にも見方にもなる。それが親子でもな」

「では、剣聖を追うかい?」

「それも無い。仕事と私事は別だ。特に今回のような場合は私情が絡むと命を落としかねん」

「では、またあの子を探すとするかい?そのロケットに入った写真の赤子を」

「まぁそんな所だ。悪鬼と化した俺に唯一残った人の部分だ。ゆっくり探すとするさ」

「私も暇人だから付き合うさ」

二人の表情が緩む。蝋燭に照らされた表情は少しの間だけ穏やかとなっていた。



ギギィー

ゆっくりと扉が開く。そこはザードフィルの居城。ビッグアイの中央にそびえる塔。
その入り口を開き、ガラテア、セシルス、風天の三人が足を踏み入れる。

「さぁ、鬼が出るか、蛇が出るか楽しみだな」とセシルス。

既にセシルスは弓に矢をつがえ、敵の気配を探している。
塔の内部、一階は一つの大きな部屋となっていた。中央に地下と2階への階段があり、天井は高く
大きなシャンデリアがぶら下がる。壁には写実、印象、抽象様々な絵画が飾られている。
シャンデリアの下には何故か不自然に椅子が置かれ、青い人形が座っている。

・・・誰だ・・・俺は
・・・いや、間違えた。誰だ・・・お前達
・・・誰もいれちゃいけないんだ・・・誰も入っちゃいけないんだ

「来たか!何処にいる!」ガラテアが身構える。

「気配は無い。ちっ、何処にいる」セシルスは弓の狙いが定まらない。

「まって下さい。今探知します」と風天。

・・・ず~と目の前にいるよ・・・でも言っちゃいけないんだ
・・・あああ~言っちゃった・・・よくも騙したな
・・・おしおきされてやる・・・いやおしおきしてやるんだ
・・・頑張れ俺

「セシ、やばいな。またこのパターンだ」とガラテア。

「ああ、どうして最近はこんな奴ばかりが相手なんだ。さすがにもう笑えないな」とセシルス。

「いました、あの青い人形から反応が!」風天が叫ぶ。

困惑に包まれた中、三人の戦士達が身構える。
新たなる戦いが始まった。


<あとがき>

今日は、内容が薄いのですが更新しちゃいます。
いつも楽しみにしてくれている方への誕生日プレゼントです。
(小説更新しかプレゼントできなかったし><)

アルテ編は、赤い宝剣の謎が・・・w
バレバレだったかな?
とは言え、ボディさんから大切な物をお借りしますと当初予告してましたが、これは予想外では無いかなw
まぁ許してくださいね^^(正宗と村正だけと思ってたでしょうねぇw)

トリーシャ救出編は相変わらず忙しく場面がかわります。
いろいろと膨らんだ構想を収束させるべく、頑張りますb

年内に後1回は更新しますので、ジャンプやマガジンがお休みする時でも狙うかw
まぁ合併号とか無いですが・・・





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最終更新日  2006年12月06日 18時31分13秒
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