Milkyway ジャーナル
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Milkywayです。お元気ですか? 20211109 ショパン・コンクールが終わって、熱気も少し落ち着いた。今日は、反田恭平さんが惜しくも敗れた相手ブルース・シャオユ・リウ(Bruce Xiaoyu Liu、劉暁禹)さんと、彼を優勝に導いた師匠のダン・タイ・ソン教授について書いておこうと思う。参考はhttps://en.wikipedia.org/wiki/Bruce_Xiaoyu_Liu 【ブルース・リウさん略歴】ブルース・リウさんはパリの出身で1997年5月8日生まれの24歳。国籍はカナダである。両親は中国からの留学生で、パリで出会い結婚。ブルースが誕生。彼が7歳の時、両親がカナダのモントリオールに移住する。11歳からピアノのコンクールに出始める。モントリオール音楽院のピアノ科を卒業。現在はモントリオール大学でダン・タイ・ソン教授に師事している。 リウさんは、今までも国際的コンペチションで優勝経験もある。その他ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクール2017年ではファイナリストとなっているし、日本で言えば、第6回仙台国際音楽コンクールのピアノ部門で第4位,にもなっている。 コンサートツアーに関しては、中国で異なるオーケストラと共に二度、フランスのラムルー管弦楽団と共にパリ公演も行なっている。その他、クリーブランド・オーケストラ,イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団,モントリオール交響楽団、オーケストラ・オブ・アメリカなど名だたるオーケストラとも共演してきた。 こうした経歴十分なピアニストが今回のショパン・コンクールを制した訳である。 【ショパン・コンクール直後のインタビュー映像】優勝後の彼のインタビュー映像(2021年10月21日)が下記。https://note.com/ptna_chopin/n/n2d6dba676838これによると、ブルース・リウさんは子どもの頃はスポーツ少年で、サッカー、テニス、卓球をし、水泳は毎日。その他チェスも囲碁も好きだったという。8歳でピアノを始めたというから、それほど早く始めたわけではない。ピアノは彼の趣味の一つだったのだそうだ。真剣にピアノに取り組む前は、1日に10分程度の練習時間だったという。練習のやりすぎということもなく、新鮮な気持ちで練習に取り組んでいられたと言う。このインタビューでは、疲れたと言いつつも、その栄誉の意味について話し、優勝者がどんな責任を担っていくことになるのかは分かっていると語った。将来どんなピアニストを目指すかと問われ「自分らしくありたい」と答えている。彼のインタビューを観て、私は彼の自然で気張りすぎない態度が、好ましく思った。その印象は、ショパン・コンクールのファイナルの演奏を視聴した時の第一印象と変わらない。とても伸びやかな演奏だった。 【ブルース・リウさんの師匠】こうした彼を育てた師が、先日、本ブログで紹介したダン・タイ・ソン教授。福島のこどもたちへの支援を長く続けてくださっている方として紹介した。 この教授がブルース・リウさんを指導する様子がこの映像で、https://youtu.be/9filpN0azfc、56分を超えるレッスン風景から、ダン教授が微に入り細にわたって指導をしているのが分かる。作曲された時のショパンの健康状態、精神状態、生活状態など曲の背景を説明し、作品への理解を深めさせる。それらの背景説明の後、繰り返し出てくるフレーズの一つ一つの違いを、ブルース・リウさんに気づかせる。そして、ブルースさんからの質問に丁寧に答える。対話と実技を組み合わせて行われるダン教授の指導から、演奏者としてだけではなく、深い理解力や洞察力を備えた人間性を持ったピアニストを「育てる」ということに徹している姿が伝わってきた。ちなみに、2位になった反田恭平さんも、2020年ダン・タイ・ソン教授に指導を受けている。 自らもショパンコンクールで優勝したダン・タイ・ソン教授。世界各地での演奏に加えて、熱心に後輩への指導を続けている。そして、その合間を縫って、福島の子どもたちへのピアノ指導も続ける。反田恭平さんも学び、今年の優勝者ブルース・シャオユ・リウさんも育てた教授。彼の指導を受けた福島の子どもたちの中から、世界的ピアニストが育つことを私は祈っている。
2021.11.09
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