7週目と命の入れ替わり

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家族関係について・共同生活とか

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December 17, 2003

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テーマ：アメリカ生活のあれこれ・・・(2047)

カテゴリ：ほんとのことだけど…お話

そういう状態であるから、風邪を引いても主治医を持たない限りすぐ診てもらえることはない。都心に住んでいるのならなおさらで、知っている病院に予約なんぞ入れようというもののやはり一ヶ月先の日付を告げられ「そんな先じゃ風邪はとっくに治ってるわいっ！」と風邪のまま怒りは心頭に達する。結局どこに行かなくても治る。

しかも保険によって行ける病院、行けない病院がある。もし間違って保険でカバーされない病院に入ってしまったら診察だけでも＄100以上、もしレントゲンなど取ってしまったなら＄1000（約11万）は軽く越す。これでは恐ろしくて病院には行けない。

保険会社から発行されている「保険でカバーされている産婦人科病院」リストからひとつをピックアップした。電話の（アフリカンアメリカンの）姉ちゃんには「では予約は来月の13日、11週目ですね。」と（乱暴に）言われる。「今から一ヶ月以上先ですよ?ちょっと遅くないですか?初診にしては･･･。」と聞くと「普通です。」とあっさり言われた。確かに来月は3ヶ月目、ということだが･･･そういうわけで今週は7週目だ。

まだもったりと自転車通勤をしている。

吐いたりするつわりが来ない代わりに、胸がむかむかする。そして鼻が敏感なので自転車で町を抜けていると排気ガスが鼻に痛い。ぐえ。

大通りに入るとフードトラックが沢山歩道に沢山止まり、朝食の「エッグアンドチーズサンド」（チーズオムレツがロールパンに入ったサンドイッチ）やそれにベーコンやソーセージを入れたサンドイッチを作っている。それを焼く脂の臭いが道に漂う。

おえっ。

最後に自転車を職場のビルの真ん前に止めて、警備員のリチャードに「おはよっ！」と挨拶。
エレベーターで自分の職場まで上がり、元気よくドアを開けるとまだタバコの臭い。

ぐおぉぇっ～。

先週買った空気洗浄器はまだ来ない。5月に日本に帰国した時SARSが流行っていた。その時両親から渡された大量のマスクをこっそり自分の机にしのばせることにした。取りあえずひっそりとマスクをする私。なんとか煙から逃れる。

先週、Janが「最初のプレゼントよぉ～」と”What to expect when you are expecting”という英語の本をくれた。

それはこちらの妊娠女性のバイブルでもあり随分人気のある本で、1ヶ月目から生まれるまでのひと月ごとに「この月はこんな現象が起こります･･」と絵付きで解説してあり、妊娠に関する質問にぜ～んぶ答えているという驚くべき本だった。分厚い本だが英語はそれほど難しくなく、さらっと読める。

妊娠した女性は大体「とあるひとつの物」が無性に食べたくなるらしい。私はどうやらチーズである。母はビールが飲みたかったなどと言っていた。この本によると、アメリカ人の女性は「アイスクリーム」を食べたくなる人がもっとも多いらしい。逆に、ピクルス（きゅうりの漬物）などという人はまずいないらしい。なんだか笑える。

日本のウェブサイトには大抵刺激物は駄目、と書いてるがこの本では「スパイシーフード」は特に問題なし、と書かれている。私は辛い物好きなのでなんだかうれしくなる。

また、日本のウェブサイトには妊娠3ヶ月までは運動はしないで安静しろ、とほとんどが書かれており親にも「もう運動しちゃ駄目よ!」と言われたがこの本では「無理をしない運動はどんどんすべきです。今までしていた人はもちろん、しなかった人はなおさらした方がよい」と書いてあった。私はダンスのクラスをもう止めようかな？と悩んでいたがこの本には「今までやっていたのなら無理をしないダンスも可。」となっていたのでなんだか続ける気になる。

運動を続けていい、ということに自信をもてたのはいいことだ。今度からは水泳だけかな？と考えていたが「エアロバイクもお勧め」「ヨガ！」「エアロビ」と何でも書いてあったので安心する。

***************
今日はダンスのクラスがあった。結局いつものようにジムに行き楽しくヒップホップダンスを終え、少々寒い街をノリノリと自転車で走った。

家に帰り荷物を置いて後ろを振り返ると、ノリノリがキッチンで何もしないで立ち尽くしていた。

そしてぼそりと、

「マミーから携帯にメッセージが残ってた･･･」

･･･

「ダディが」

「亡くなったんだ･･･」

と言葉を詰まらせた。

「ダディ」はノリノリの実父のことではなくて、ニュージャージーに住んでいるホストファミリーのDaveのことだ。奥さんのひさ子さんとDaveは、ノリノリがアメリカに来た10年前からお世話になっている夫婦で今年の夏も彼らの家に幾度となく私達は遊びに行った。

ノリノリは泣いていた。

私も大泣きしたかったが、私は泣くと絶対止まらない。今ここでぐっと抑えて、ノリノリが止まったら後でこっそり泣くんだ。ノリノリが動揺している今は、私がやれることをやろう。

取り合えず、ハーブティーを入れて部屋を片付けた。ノリノリはひさ子さんに電話をして泣きながら何が起こったかを聞いていた。

ちょっと落ち着くと、丁度一年前頃の結婚式のビデオを見始めた。Daveは式の直前に緊張して立っているノリノリのところにつかつかとやってきて、「おまえ、本当に後悔しないのかっ?!」と茶化している。この時60歳だった彼は、今年1年、リタイア（定年退職）ライフをゆっくり楽しんでおり先々週私達のベイビーの報告を喜んで聞いたばかりだった。

実は、私達のベイビーが発覚した12月の頭にノリノリの実家に電話を掛けると彼の両親は不在だった。そこでお世話になっている隣家に連絡をすると、10月に結婚したばかりのノリノリの弟の奥さんが乳がんで5cm切る手術をしたのだそうだ。彼女は確かまだ26歳ぐらいだったに違いない。新婚で若い分だけ事態は深刻で、結局私達のベイビーのことは言い出せなかった。子供が出来るまで抗がん剤はやらないと聞いた。

･･･12月は良いことも悪いことも、なぜかいろいろなことが度重なる季節だ。

ノリノリと私が昔働いていたレストランに、佐々木さんという寿司職人がいた。

彼は私の父親と同じぐらいの年代の方で、面倒見がよく、一人でアメリカ生活を戦っていた私を精神的に随分応援してくれた。ノリノリも同じように佐々木さんと個人的に信頼しあう仲だった。

4年前の年末、彼は突然亡くなった。私達はレストランの仲間と共に、大泣きした。

なぜ今まで思い出さなかったのか不思議だが、彼が亡くなった3年後のその日に･･･私達は結婚した。

→→→→または US Life Index へ行ってみる→→

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Last updated August 4, 2004 06:46:52 AM
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■コメント

Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

makh さん

いろいろと大変な事が重なる時期なのね。
なんだか不安定な時期だから、ストレスかからないように、のんびりとやってください。

今日の献立は、鯛めし、鱈汁、餃子、しし唐焼き、サラダ、漬物、という食べたいものを全部作ったメニューです（爆） (December 17, 2003 05:29:53 PM)

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Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

ぐいくいさん

大変でしたね・・・。（ノ＿・。）クスン
私が思うのに、生命の移り変わりはきっと亡くなられたかたの意志を継いで新しい生命が誕生すると思います。
Daveさんのすばらしい所ご意志を継いでみんみんパイさんのあかちゃんは生まれてくると思います。
赤ちゃんって手を握り締めていますよね・・・いつも。
それって右手には「夢」を左手には「希望」を握り締めているんですって！！（左右逆かもしれませんが）
みんパイベビーもみんなに夢と希望をもって生まれてきてくれると思います！！みんパイ夫妻の悲しみができるだけ早く癒されることを心からお祈りしています。それからDaveさんのご冥福を心からお祈りします・・・。
みんみんパイさん身体気をつけて！！
ＰＳ：私、デカイおばさんなの・・・。（笑）
ばるーんさんの掲示板みて大笑いしちゃった！！
ヽ(;´Д｀)ﾉわらいすぎた~っ!!
１６５Ｃｍ・・・ついでに手も長い・・・。
かわいらしい身長じゃあ、じーさんばーさん抱えられないし、ばるーんさんにも書いたけれど、１０Ｋｇのダンベルやさすがにタンスは抱えきれないでしょう・・・！
まぁ・・ふざけたおばさんですわぁ・・・！！ (December 17, 2003 06:51:21 PM)

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Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

ぱるーんさん

誕生する命があれば、消えていく命があって。。。
そうやって命は繰り返されるんだと思うけどやはり辛いですね。
元気出してください。お母さんが元気ないと赤ちゃんも心配しますから。。。 (December 17, 2003 10:45:37 PM)

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Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

Sheel さん

雨ふらば降れ　風吹かば吹け
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一休 (December 18, 2003 02:15:45 AM)

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Re:Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

みんみんパイさん

makhさん

おいしそうな食べ物で一杯・・・あぁいいなぁ。鯛めしなんて豪華だなぁ。

私はフライドチキンを食べまくって、げろはきました。あぁ、何故か自分の限度が分からない。
(December 19, 2003 03:06:23 AM)

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Re:Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

みんみんパイさん

Sheelさん

心休まる句をありがとう。俳人の方だったなんて知らなかったわ♪

ひひひ、これからもよろしく。
(December 19, 2003 03:13:50 AM)

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リンクありがとう。

Sheel さん

みんみんパイさん
＞俳人の方だったなんて知らなかったわ♪

-----
あれは一休さんのうたですよ～ん。

元の身は　もとのところへ　かへるべし
　　　いらぬ仏を　たづねばしすな.................一休
(December 19, 2003 11:29:00 AM)

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Re:リンクありがとう。

みんみんパイさん

Sheelさん

へぇ、一休さんの歌なんだぁ。核心を突いてるなぁ･･･。Daveはとてもピースフルに亡くなりました。みんながそれで幸せだった!悲しいけど、死が全てじゃないものね。

ちょっとげろげろしてきました。キテルなぁ･･･
(December 20, 2003 03:16:26 AM)

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Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

snowday さん

友人のお父様も60歳の定年で、これからご夫婦で旅行でもしようかといっていた矢先に、なくなられたと聞きました。

私の姪は、父方の祖母、甥は母方の祖母のお葬式の時、姉のお腹におりました。その時、私たちもしみじみ人間の不思議さ、命の尊さを感じておりました。

どうか体を大切に。それがなくなった方への一番の供養になるのではないでしょうか。
(December 23, 2003 02:33:22 PM)

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Re:Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

みんみんパイさん

snowdayさん

ありがとうございます。偶然と言えども（そうでないかもしれませんが！）、やはり命が芽生えることと命が亡くなることが行き交っている状態にとても不思議な気持ちを味わいます。そして、亡くなった方がいたらなおさら新しい命を大切にしよう、という強い気持ちが湧いてきますね。

頑張ろうと思います！
(December 24, 2003 07:22:17 AM)

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Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

楽天ぱんだpandaパンダさん

そういうことってあるみたい・・・
話をきいて、喜びと悲しみが交錯して、すこし。
思い出しました。

父は正月の2日に早朝になくなったのですが、はなれていた僕のところには、年末の大晦日に知らせがありました、おとすはずのない、われるはずのない、セラミックガラスを取り落として割ってしまって、床にキズを作って胸騒ぎがした、というときのことでした、それが、というと。
変わりに宿っていた生命はすくすくと育ち、なんと、好きなものが魚の皮で、そんなDNAは我が家では父の幼いころの好物でしかなかった、というものでした、昔から人間の、のぞむ永遠は生きている？。
(December 25, 2003 09:43:42 AM)

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Re:Re:7週目と命の入れ替わり(12/17)

みんみんパイさん

楽天ぱんだpandaパンダさん

本当にいろいろな事が･･･不思議ですよね！皆さん同じような経験をされているのですね!!!

亡くなったDaveさんは今年の頭に倒れた事がきっかけで自分の死を予期したらしく、遺書を残していました。いわば家族と友人に対するラブレターです。みんながこれには泣きました。
(December 25, 2003 02:24:39 PM)

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