すぃ工作室
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綺麗な鎚目でしょ~。バカにつける薬はないといいますが…道具バカ、健在であります。鍋や笊に恋い焦がれて はるばる京都まで行ったのが去年の秋。三十三間堂の塀沿いに、ひっそりたたずむ店。職人さんの工房から カンカンカンと気持ちいい音が響いていて、お店には、ずらり・・・美しい鍋が並んでいました。鍛金という技法は、一枚の金属板を炎で熱して、トンカチで叩いてという作業を繰り返して、見事な曲線に打ち出し、成型するのです。大らかで綺麗な鎚目。 曲線。 カシメ。 金属の肌。とにかく美しい。。。ものすごい技術と 根気のいる作業が結晶した、美しい実用品。生活の中の‘道具’です。一年前は、興奮しすぎて選びきれず、翌日、新幹線乗る前に飛び込んだ有次で段付鍋をもとめたのですが…あれから300日ほど経ってみてもやっぱり、あきらめきれません。「そうだ、京都行こう症候群」(私的に年に一度は発症)が、くすぶったままです。『in-kyo』の本コーナーで、表紙に釘付けになった木工作家・三谷龍二さんの著書 『遠くの町と 手と しごと』 にwestside33寺地茂さんの鍋と人柄が書かれていて去年、お店でお会いした寺地さんのことを思い出しました。職人さんっぽい堅さ・難しさはなく、なんともいい感じの‘おっちゃん’だったなぁ。この人の手から、この美しい鎚目が生まれているのが納得できる…そんなあたたかな人柄の職人さん。よく手料理をごちそうしてくれる料理上手な友人への御礼品+ちゃっかり便乗して、自分のも一緒に‘京都生活’から名前入り(彫り)のアルミ行平鍋21cmをオーダー。あまりの使い心地の良さに…もう鍋がくたびれるほど毎日、愛用中。出汁をとったり、煮物をしたり、野菜の下茹でしたり使うたびに 手になじむと同時に、キリリと背筋が伸びるような緊張感があるのです。さて、今年もそろそろ終盤戦。田んぼやら、家のことやら、今年も一年がんばった ごほうびを旦那からいただけるというので リクエストしてみたら…ついに、ついに、大物が、我が台所にやってきてくれました!!!27cmの両手浅型鍋。しかも名前入り!蒸気抜きも素敵でしょ~♪(←やっぱりバカ)ちょうど、今年の鍋シーズンに突入したことだし。も~ じゃんじゃん料理しまっせ~!さらに、どさくさまぎれ(私の定番技…)に注文した念願の‘銅製・行平鍋’も!重くて、熱まわりが良くて、注ぎ口の水切れもすこぶる良くて、煮物とかしても、ほっくりほくほく最高です!!!アルミも、銅も、まず 使い始めは お米のとぎ汁と くず野菜でコトコト煮て、鍋肌に皮膜をつくると 鍋が長持ちしますよ。一ヶ月近く、鍋の美しさを鑑賞してから、さぁ、いよいよ使い始めるぞーーー!っと思ったら、銅鍋がない。ない。ない。ない。あわあわ慌てて探していたら・・・あーーー。先に ムスコが使ってました。 彼のキッチンで。「じゅ~じゅ~♪ じゃじゃーーー♪」とか言いながら鍋にプラスチック&木製のオモチャをほりこんで、料理中。うぁ~ 内側の錫引きが剥がれてしまう~~~ と、青ざめる私。うむむむむ。感覚を育てるには、本物の道具を使ってこそよ・・・と、ヒヤヒヤしながら二代目・道具バカの成長を見守っております。
2009.10.21
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