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蟻の巣から　

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2005.05.24

蟻の巣にて【５】

(2)

テーマ：異文化・・・？！（￣ロ￣；）(432)

カテゴリ：異文化、ここにあり

引き続きルポの邦訳。

初めての方は、１回目からどうぞ→ 蟻の巣にて【１】

何でいきなりこんなことをやり始めたかというきっかけについては、
ここを参照→ 日本、フィンランドを席巻す！？

注意：僕のフィン語翻訳能力にもまだ限界があって、適当に意訳している部分もあります。分からない部分は、オリジナルをそのまま訳文と一緒にしておきます。もし適訳があったらコメント下さい。

それから東京の地理状況などもよく分かっていませんので、地名とか間違っていたらご教授下さい。

★

蟻の巣にて Muurahaispesässä 　第５回

イルッカ・マルムバーグ Ilkka Malberg

部長が今夜、他の同僚と一緒に都内のカプセルホテルに泊まることについて、彼の奥さんはどういう反応だったの、とたずねてみた。（上記ゼスチャーのように）鬼のように怒っている、らしい。

朝4時すぎ。営業課長のヒグチさんは3時に中座した。しかし彼は帰宅する前、浴衣を揺らしつつ、ヤリ・リトマネンのプレーを演出してみせた。（注１）

僕らは皆、心地よい浴衣を着込んでいる。自らの服と靴は階下で保管されており、今は座布団に座り、平テーブルの側だ。それまでに僕は、ユーカリ葉の匂いが香る蒸気サウナ、座上シャワー istuinsuihkutを試し、さらに冷水プールや温水の「風呂」にも横たわってみた。極楽にいるようだった。

そして目下、洒落たレストランでサッポロビールを飲みながら、日本料理（おつまみ？）を箸でつついている。大型のプラズマテレビが二つ、スペイン１部リーグの中継している所だ。同じような平面型テレビはサウナにもあって、そこではイタリア・セリエＡの試合をやっていたな。

この3人のグループは、「テレコミュニケーション業界」に勤務しているとのこと。ひょっとしてノキアなんですか、とさりげなくきくと、お互いを見合わせながらニヤニヤと笑い出した。これがガイド書に書いてある、日本人が戸惑った際に見せる苦笑い、というだけなら良いのだけど。

自宅から会社までの距離はどれくらいかをたずねる。「１時間半かな」。「あ、でも彼以外」と早めに帰宅した営業課長のことに触れた。「あいつは、200キロの範囲内に住んでいるからねえ」（注２）

「残業は週に2回」、とセキイ部長がいう。「その日は大体、帰宅するのが10時とか11時くらいだ」。または今夜のように、都内で夜を明かす。

部長は普段、5時半に起床し体操の番組で体を動かす。9時半までに、職場に着いていないと駄目らしい。

すでに明朝で、さすがにもう寝る時間だと思ったが、彼らはそれほど焦っていない様子。すでに東京の繁華街、池袋にいるので準備万端ということだ。普段の就寝時間については、「4、5時間ぐらいかな」とグループ中の一人、マツモトさんは推測する。もちろん3人とも家族はいる。子供もそれぞれ1、2人いて、可愛いらしい。

4時半にお開きとなり、カプセルへ向う。カプセルはいわばベッドルームで2階建て構造になっている。とても静かで、いびきやおなら、アダルト番組の音などはあまり聞こえてこない。こうしたベッド・ルームは７つのフロアに設置されていて、その数全部で780カプセルある。

早速、自分のカプセルに潜入。中はきれいで、壁の軟質プラスチックを使用しているあたり、冷蔵庫を思わせる。間取りも十分で、棺桶よりもあきらかに大きい。違いといえば、カプセルの外では他人が就寝中であること、空気が心地よくひんやりとしていることぐらい。

（つづく）

◆翻訳ノート

（注１）ヤリ・リトマネン Jari Litmanen。フィンランド出身のサッカー選手。

（注２）通勤距離が200キロって本当なんでしょうか？ちょっと長すぎやしない？原文は、Hän asuu kahdensadan kilometrin päässä です。

●カプセルホテルの描写とかは懐かしいです。僕も旅行とかでよくカプセルホテルを利用した経験があるので。宿泊料が割安な外、中心街に位置することが多く交通の便に優れているのです。

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