「 父親たちの星条旗 / Flags of Our Fathers (2006) 」
硫黄島の戦闘をアメリカ側と日本側の双方の視点から描いた2部作の一つ。
日本側の視点から描いた作品には渡辺謙主演の「 硫黄島からの手紙(2006) 」
ドリームワークス製作のワーナー・ブラザース配給の映画ですが、ドリームワークスのイントロ画面は、いつもの美しく鮮やかなブルーカラーから硫黄島の戦闘シーンにマッチさせるかのようにダークなスモーキーグリーンに変えられていました。
原作は、ジェームズ・ブラッドリー&ロン パワーズ箸 『硫黄島の星条旗』(文春文庫刊)/『父親たちの星条旗』(イースト・プレス刊)
ジェームズの父、ジョン・“ドック”・ブラッドリーは、被写体となった硫黄島を一望できる摺鉢山の山頂に旗を掲げた兵士の中の一人。その事実がわかったのが1994年に父が亡くなった後だったとの事。
監督は、「ミスティック・リバー(2003) 」、「 ミリオンダラー・ベイビー (2004) 」のクリント・イーストウッド。
製作は、「シンドラーのリスト(1993)」、「プライベート・ライアン(1998)」、「 未知との遭遇 (1977) 」、「 E.T. (1982) 」、「 宇宙戦争(2005) 」、「 ミュンヘン (2005) 」などあげだしたらきりがないほどの代表作を生み出してきた巨匠スティーヴン・スピルバーグ。
脚本は、「 ミリオンダラー・ベイビー (2004) 」、「 クラッシュ(2005) 」とその深く鋭い視点と確かな構成力には、世界が認めた2005年のアカデミー賞脚本賞受賞で記憶に新しいところです。
これほどのそうそうたる超一流トップメンバーで作られたこの映画には、嫌がおうにも期待するなと言うほうが無理というものですね。
主演は、「 クラッシュ (2004) 」で、人種差別主義者のライアン巡査の同僚ハンセン巡査 役で出演していた、ライアン・フィリップ(ジョン・“ドック”・ブラッドリー)。
その他の出演者にはそれほど見渡してもそれほど有名な俳優さんはみかけないのですが、戦争映画なのでそれほどビッグネームの俳優の起用が必要ないというところでしょうか。
舞台となる硫黄島は(東京都小笠原村硫黄島・・)グアムと東京のほぼ真ん中、日本の最南端に近い、周囲22kmほどの小さな島。61年前に起きた太平洋戦争激戦の地「硫黄島」の戦闘を描いたアメリカと日本の双方からの視点で描かれた二つの物語の一つです。
スピルバーグが製作を担当しているだけあって、プライベート・ライアンを彷彿とさせる戦闘爆撃シーンはもの凄い迫力です。やはりここはスピルバーグ的映像の醍醐味言えるでしょう。一切見えない敵国日本軍からの四方八方からの銃弾をよけて進軍していくアメリカ兵。銃撃を受けて負傷するシーン等も色調をグレースケールで抑えてあるために鮮血によるグロさみたいなものを強調して見せない効果というものは、そのシーン自体をクローズアップさせる目的、つまり戦闘の激しさや迫力にテーマがあるわけではないと言うように、かえってクールでリアルと言えるのです。
隠れている見えない相手がからの攻撃は、視界に見える相手と銃撃戦をするよりも、より恐怖の度合いも大きいかもしれません・・・
ただ、時折夜襲をかけて現れる数人の野蛮人のような日本兵と、画像では表現されずにアメリカ兵ドクの表情だけで表現される日本兵が行ったイギーの惨殺の跡。出てくる日本兵は10人もいたでしょうか・・卑怯な野蛮人を強調するような表現になぜか怒りがこみ上げて来ます。
火炎放射器を使って焼き払うほうが野蛮じゃないのか!・・・
悪いけど好きじゃないな・・・こんな映画。
っというより、戦争自体が人間の良心を鈍らせて敵国の兵士を無差別に殺戮していく野蛮な行為であるわけで、どちらも理不尽で野蛮なのには違いないのです・・・。
どうして殺し合わなければいけないの!?。
味方の誤射で無意味に死んでいく者もいる、まさに右も左も生と死の境目のない最悪の激戦状態を見せつけられるにつれ、人間の尊厳を無視した無意味さというものを嫌と言うほど感じさせられます。
硫黄島からの手紙」は 日本のみ
の公開とウィキペディアに書かれていましたが、2月に公開されるそうです。はやとちり発言をしていました(笑)
6(*'▽'*)ポリポリ・・。訂正して削除いたしました☆
あれほどの地獄絵図の戦場の悲惨さの中で戦っている兵士の惨状に比べて、遠い日本で起っている事からは無縁のようにアメリカ本国では、英雄を称える華やかなセレモニーが開かれています。アメリカは戦争をしているのは軍隊だけ。国民は軍の兵器の補充の為に国債を買って応援するだけ・・・・。私は、アメリカは豊かだなと、ふっと考えさせられました。
圧倒的に大国の経済と日本のような人口1億2千万の小国の違いを見せつけられたような気がしました。勿論私は、戦争を知らない子供達のひとりであるわけで、戦争の実態も戦時中の生活も知っているわけではありませんが、日本が戦争に参戦している頃を描いたいろいろなドラマや映画などで描かれた日本の戦争は、アメリカのように国債を買う・・などという生ぬるい事では戦争は出来ないのです。
「 お国の為に 」との大義名分を突きつけられて洗脳され従わなければ非国民として捕らえられ、戦争に使える物はすべて強制的に徴収され、成人男性はは赤紙が届くと出征を拒否できない実態。余分な弾がなければ「 零戦 」のように軍艦に体当たりして自爆することを名誉と洗脳され、一億総玉砕的に精神的にも経済的にも、残された女や子供までも一緒に戦場で戦っている兵士と心を一つにして過酷な生活を強いられるのですから・・・。
こういう映画などの一部の作られたメディアを観てそう思いこむのは危険な事かもしれないが、アメリカのしてきた戦争は、大統領という会社の社長が行っているビジネスと変わりないのでは?国債という名の株を買ってもらって会社を運営する戦争会社みたいだなと・・・。
話は極私論的になってしまいましたので、映画に話を戻しますと、摺鉢山に星条旗を立て英雄視された生き残りの3人が本国に召還され、戦争の存続のための茶番劇のようなセレモニーによる資金稼ぎに利用されるロードムービーの中で、友を目の前で亡くしてきた惨劇が心を蝕み、悪夢にうなされ憔悴していくインディアンのアイラ・ヘイズの姿が最も人間らしく描かれているところが、戦争というものがいかに無益で過酷なものであるかを彼の姿を通して確実に観る者に印象づけている事や、アメリカという国に元々住んでいたネイティブであるインディアンがアメリカ社会から差別をうけ、迫害を受けている現実を描くことと対照的に、白人であるレニー「 」が戦争というものをカラッと忘れたかのように婚約者との華やかな話題をマスコミに提供し笑顔を振りまき飄々と巧く世渡りしていく姿を描く事という、イーストウッドとポール・ハギスの見事な構成によって、アメリカの社会の差別の現実に対する皮肉をも描こうとしていると言えるでしょうか。
星条旗を掲げる6人の兵士の写真がプロパガンダとなって、アメリカ国民の志気を高揚させアメリカは勝利を収めたわけですが、その勝利した事実よりも、写真に隠された真実からその戦死した遺族の顔が見え隠れし描かれるところがこの映画のメインテーマと言えると思います。そんなところがその辺の戦争映画と一線を画すこの作品の素晴らしさでもあるでしょう。
相変わらず原作は未読ですので、この視点が死ぬまでその戦いの真実を語らなかった原作者ジェームズ・ブラッドリーの父ドクの視点だったのか、は不明なのですが・・・。
エンドロールが始まると、結構バラバラと席を立つ人が多かったのですが、ふと、エンドロールのインパクトに、立ち上がって退出しようとする人達の足が止まって、会場に一瞬静寂が訪れました。
やはり実在の人物を描いたそのメモリーとも言えるご本人達の写真のインパクトは強烈です。
まだまだ生きられた、若きアメリカ兵28686人と若き日本兵20129人の命を無益に奪ったこの太平洋戦争の跡に残ったものは・・・・
この大勢の尊い命に代えて得られる価値などありはしない・・・
クリント・イーストウッドの描く日本の視点とやらのお手並み拝見・・・・というところですかね。
そして、「硫黄島からの手紙」は12月9日(土)公開です。
「硫黄島からの手紙 /Letters from Iwo Jima」は実在の人物栗林中将と日本兵の物語。
~おしまい~
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