2014年07月08日
XML
カテゴリ: Story-Tracks
3日目。

月曜の朝。

となりのベッドには、先の便で韓国に旅立った旧友の抜け殻がある。

僕はまだ、一人でマカオにいた。


外では車の走る音が忙しなく聞こえてくる。

さっきまで見ていた「自分が死ぬ」というとんでもない夢を反芻しながら、

夢と現実の間を彷徨っていた。


朝の福隆新街はどこも開いておらず、

粥か麺を食べようという細やかな計画は、残念ながら潰えた。




マカロニの上ににソーセージと卵の乗った香港風スープを食べた。


…隣の列あたりに、横一列に並ぶおばさん。

顔見知りなのか、おはようと挨拶しあっている。


そのうちやってきたお爺さんは、清掃係のおばさんにお金を渡した。

まさかと思いながらも、ある期待を持って待っていると、

案の定おばさんは朝マックを持って二階に上がってきた。

まさかのセルフサービスでないマック。


つくづく感じるが、ここは広東文化圏であり、

基本的に自らが身を置いたクアラルンプールに、通ずるものがある。

それがほんの少し、懐かしくもあった。


9時を過ぎたので天主堂方面にもう一度向かってみた。




その後も見逃した世界遺産を追いかけながら歩いて回ったが、

蒸し暑さで汗が止まらなくなり断念し、空港にタクシーで向かう。


…旅はそろそろ終わる。

香港に降り立った時の気分とは裏腹に、道に迷ったり、買い物ごときで困ったりした。

ロスト・イン・トランスレーション。




知らぬ間に時代に乗り遅れてしまった、という事実を背に。


帰りのフライトが、満席でビジネスクラスになる。

どうやら僕は、マカオのカジノで、幸運の女神を連れて帰ってきたようだ。


帰りの機内で観た「ダラスバイヤーズクラブ」にも、何かを感じた。

朝に見た「死ぬ夢」につながるような、何かを。

自分の限界はあるようでいて、実はどこにもないのだということを。


10年の旅のしめくくり。

それは、次のパスポートを手にするための大切な儀式。


さあ僕は、次のパスポートにどんなスタンプを押していくのだろうか。

旅のしめくくりを確信するや否や、もうそんな夢想が広がりはじめていた。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014年07月08日 18時13分53秒
コメント(0) | コメントを書く
[Story-Tracks] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

moto0208

moto0208

コメント新着

だれでしょう?@ オーラではなく金 キライなママでいいと思う。
moto0208 @ Re[1]:映画/2012(11/22) 通りすがりさん >あまりにも気になった…
通りすがり@ Re:映画/2012(11/22) あまりにも気になったので、同じことを考…
通りすがり@ Re:映画/2012(11/22) あまりにも気になったので、同じことを考…
moto0208 @ Re:新しい世界(04/12) KANAサン、ありがとう!励みになります。 …

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: