MORITA in Cyberland
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前回のお稽古の時に『小習十三ヵ條伝書』を頂戴し、今回のお稽古は「軸飾」。『小習十三ヵ條伝書』の中にあるから、ということなのですが、見るのもやるのも初めてです。このお稽古の主役は「掛け軸」。お茶というのは「おもてなし」で、「こんな美味しいお菓子を頂いたからみんなで食べましょう」とか、「こんな素敵なお花が咲いたからみんなで愛でましょう」とかが、本来の姿なのだと私は思っています。ワタリウムさんの旅行で良くご一緒する、裏千家の師範の方は、「この前の旅行の時に手に入ったお水で「名水点て」をしたのよ。」と仰ってました。つまり「おいしい水」が主役のお茶、ということですね。「軸飾」は「こんな良い掛け軸が手に入ったので(あるいは表装が出来たので)、お披露目させて頂きます」という時のための作法。ま、そんな機会があるかどうかは別にして、これを通じて、掛け軸の扱いを学びましょう、ということです。-----床の間には、まだ巻物状のままの軸が据えられています。主客の方が「どうぞお入りください」と声をかけ、亭主(掛け軸の持ち主)が「ウグイス」を持って膝立ちで入ります。「ウグイス」は掛け軸を架けるための長い棒で、先の部分がウグイスの嘴に…似てるかなぁ?ま、そういう名前が付いています。で、主客が「本日は珍しいお軸を拝見させて頂けるとのことで…」と話を振って、亭主がそれに返答し、床の間へ歩を進めます。床の間の真ん中に立てかけてあるので、それを取るわけですが、普通では届かないので、両膝を床の間の上に載せてしまいます。日頃、床の間に乗ることなんてないので、なんだか緊張しますね。で、巻物を持って下がり、元の位置に戻ります。ここで、ちょっと巻物を広げるのです。-----左手で巻物を支え、右手で巻いてある紐を引っ張ります。片手で解けるようになっているのですね。で、解けた紐を右手で巻き取るようにしながら3周。これで、巻いてある紐は全部解けるので、右手に持たせた紐を左手の小指に引っ掛けます。ここで「巻紙」が登場。すっと抜いて、懐に。「黄巻紙」ですね。巻物を畳みの上に置いて、少しずつ巻物を広げます。「一文字」が出てきたあたりで、折りたたまれている左の「風帯」をはね、右の「風帯」を伸ばし、続いて左の「風帯」を伸ばします。そして折り目のところを、軽く押さえて、クセを直します。(用語は後で解説。)右手で「ウグイス」を取り、上の掛紐のところに「嘴」の部分を引っ掛け、右手にウグイス、左手に巻物を持ったまま、立ち上がって床の間へ。-----床の間には右足から上がります。うーん。床の間に上がるなんて、怒られそうな気がする行為で気が引けますね。鉤に掛紐を引っ掛け、「ウグイス」を下の辺りに立てかけて、両手で巻物を広げていきます。で、展開するのに合わせて、自分も座っていく、と。広げ終わったら、後ろに3巻き、前に3巻きして、巻きグセを整えます。下りる時は左足から。-----定位置に「ウグイス」を戻って戻って、今度はお客様による拝見タイム。まずはお正客から。と、いっても、これは普段の「お軸拝見」と変わりありません。-----次客の方に、お先にと礼をして、床の間の前へ。扇子を置いて一礼。まずは作品から見ます。え?それ以外どこを見るのかって?掛け軸を見る場合、作品を見た後、表装も見るのです。額が違えば、絵の雰囲気が変わるように、掛け軸は表装によって雰囲気が変わるもの。残念ながら、そのよしあしが分かるほど、私の目は肥えていませんが。-----例として、アフェリエイトから川合玉堂さんの作品を持ってきてみました。作品の上下に一本ずつ細い線が入っていますね。これが「一文字」です。作品の背景になっているのが「中廻し」。上下の空白部分が「天」と「地」です。「天」の部分に2本帯が垂れていますが、これが「風帯」。-----これをそれぞれ鑑賞して、最後にもう一度作品を鑑賞して、一礼。自席に戻ります。で、順番に最後の方まで。-----お客様から亭主に作品の話を改めて問いかけます。「何とお読みするのでしょうか?」良いんです。分からないのですから。「今日のお軸は「竹に上下の節あり」と読みます。兵庫県の住職の方が揮毫されました。」「意味をお伺いしてもよろしいですか?」「竹に「節」があるように、平等であっても上下には「礼節」が必要である、との意味だそうです。」………と、まぁ、こんな感じで。-----最後にお客様から「○○のうございますので、どうぞお仕舞下さい」(○○は失念)と、片付けを促します。まぁ、良い掛け軸なので、傷など付かないよう、お仕舞下さい、の意味だと。それを受けて、今度は先程の逆回しで掛け軸を片付け、席の方へ。ウグイスを下げて、今度は紐を簡略に巻いて片付けます。最初飾ってあったのが「真」(丁寧な結び方)で、片付けの時は「草」(簡略版)。-----本式の場合、これで亭主が下がったあと、お客様も一旦退席し、改めてお花が飾られて、懐石-お茶の流れになるわけです。まぁ、今日はお稽古ですので、もう一度掛け軸を架けなおして、釣り釜の続き、ですけど。うん。珍しいお稽古をさせて頂きました♪さーて、覚えてられるかしら…。
April 22, 2006
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