MORITA in Cyberland

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March 11, 2006
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ティンゲリー美術館では、エヴァ・エアプリ(で良いのかな?帰ったら調べます。)さんの作品展も開催中。

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骸骨というより、髑髏のイメージを前面に、暗く、重い感じの作風…と思いながら観ていたのですが、数を観るうちに、それが、「私」の「死」に対するイメージであることに気付きました。

作家自身は、「死」を「そこにあるもの」として、常に一定の距離を保って作品を作っており、ことさら負のイメージを背負わせようとはしていないのです。

もちろん、だから明るい作品になるというわけではなく、しかし、扱っている対象が対象だけに、かなり多くの作品を作りながら、この等距離を保つエネルギーは、大変なものでしょうし、そこから生み出される緊張感が作品の魅力になっています。

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一番印象的だったのは「テーブル」と題された作品。

横長の机に、こちらを向いてずらりと並ぶ13体の人形。
構図の意味するところは明白で、もちろんこのテーブルは「最後の晩餐」に他なりません。


そして、本来ならば「彼」の座する、テーブル中央席に置かれた、一回り小柄な人形は、フードを被った虚ろな髑髏。

キリスト教徒でない者が、下手な解釈を述べるのは慎んで次に参りましょう。

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折り重なるように横たわる無数の髑髏を描いたドローイング。

しかし、その髑髏は頭に花を飾っていて、表情(?)もどこか穏やかです。

いくつかのバリエーションがあり、暗色で描かれた作品は、花も挿してなく、さすがにそこまでのチャーミングさはありませんが、改めて見ると、さほど不快感を喚起するものではありません。
(いや、だからと言って、家に飾りたいとは思いませんけど。)

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ズラッと並んだ、背の高い立像。

どこか虚ろに、しかし、様々な表情を浮かべた、その人形は、真っ黒な、おそらくは喪服を着て、ヌボーと佇みます。

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ガシャガシャ動く無表情な人形達は、不気味さを孕みながらも、多少のユーモラスさも感じさせます。


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別の作家(名前を失念)と組んだ十字架の作品。

真っ白なタイルで作られた十字架(こちらが別の作家の制作部分)に架けられた「彼」の首は、真横に曲げられ、髑髏でこそないものの、無表情。

焼け焦がしたかのような質感で、下半身は失われています。



さて。

トータルで作家が伝えようとしているのは、「メメント・モリ(死を思え)」なのだな、と。

「死」という対象に素直に向き合い続け、作品を送り出してきたのだな、と。

髑髏や喪服といったガジェット、無表情を感じさせる、しかし表情豊かな顔の造形は、そのイメージを強く喚起させる-観客と共有するための手段なのだな、と。


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うーん。

作品としてはエネルギーと緊張感があり、ズラッと並べられると、壮観ではあるのですが…。

作品が日本に来ても、観には行かないかなぁ。

キリスト教的ガジェットを扱った二作品は、もう少しじっくり向き合ってみたい気もしますけど。





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Last updated  March 25, 2006 01:03:41 AM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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