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2025.09.30
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カテゴリ: 報徳記を読む
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二宮翁夜話巻の2

【33】俗儒があった。

尊徳先生の愛護を受けて、儒学を子弟に教えていた。
ある日近村に行って大酒を飲んで、酔って道傍にふして醜体を極めた。
弟子のある子は、これを見て、翌日から教えを受けに来なかった。
儒生は憤って、先生にこう言った。
「私の行いが不善はいうまでもない。
しかし、私が教えるところは聖人の書である。
私の行いが不善を見て、あわせて聖人の道を捨てるという理屈があろうか。
あなたが説諭して、再び学ぶように来させてください。」とこうた。
尊徳先生はおっしゃった。
「あなたは憤ってはならない。
私がたとえをもってこれを解説してあげよう。
ここに米があるとする。
ご飯に炊いでで糞桶に入れて出したとして、君はこれを食べるか。
もとは清浄な米飯であることは疑いない。
ただ糞桶に入れただけである。
しかし、人がこれを食べる者はない。
これを食べるのはただ犬だけであろう。
君が学問もまたこれと同じだ。
もと光り輝く聖人の学だが、あなたが糞桶の口から講説するために、子弟が聴かないのだ。
その聴かないのを不理というか。
あなたは中国の産れだと聞いた。
誰に頼まれて、この地に来たのか。また何の用事があって来たのか。
家を出ないで、教えを国になすのが聖人の道である。

今ここに来て、私の食客となる、これは何のためか。
口腹を養うだけであれば、農商をなせばよかろう。あなたは何のために学問をしているのか。」
儒生は言った。

「私が過っていました。私はただ人に勝つ事だけを欲して読書していました。
私は過っていました。」と言って謝して去っていた。

【33】俗儒あり、翁(をう)の愛護を受けて儒学を子弟に教ふ、
一日近村に行つて大飲し酔ふて路傍に臥し醜体を極めたり。
弟子某氏の子、是を見て、翌日より教へを受けず、儒生憤りて、翁に謂ひて曰く、
予が所行の不善云ふまでにあらずといへども、予が教ふる処は聖人の書なり、
予が行(おこなひ)の不善を見て併はせて聖人の道を捨つるの理あらんや、
君説諭して、再び学に就かしめよ、と乞ふ。
翁曰く、君憤る事なかれ、
我れ譬へを以て是を解せん、
爰(ここ)に米あり、飯に炊(かし)いで糞桶(くそおけ)に入れんに、君是を食はんか、
夫れ元清浄なる米飯に疑なし、只糞桶に入れしのみなり、
然るに、人是を食する者なし、是を食するは只犬のみ、
君が学文(がくもん)又是におなじ、
元赫々(かくかく)たる聖人の学なれども、卿(きみ)が糞桶の口より講説する故に、子弟等聴かざるなり。
其の聴かざるを不理と云ふべけんや、
夫れ卿は中国の産(うまれ)と聞けり、
誰(たれ)に頼まれて此の地に来りしぞ、又何の用事ありて来りしや、
夫れ家を出でずして、教へを国になすは聖人の道なり、
今此処(ここ)に来りて、予が食客となる、是れ何故(なにゆゑ)ぞ、
口腹を養ふのみならば、農商をなしてたるべし、
卿(きみ)何故に学問をせしや。
儒生曰く、
我過てり、我只人に勝たむ事のみを欲して読書せるなり、
我過てり、と云ひて謝して去れり。






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最終更新日  2025.09.30 00:00:14


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