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Apr 30, 2007
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カテゴリ: 映画
待ちに待った映画 「日本の青空」 を見ました。
憲法成立に関わる過程で鈴木安蔵や高野岩三郎といった人たちが作った「憲法研究会」の草案がGHQの日本国憲法草案に多大な影響を与えた、ということをドラマティックに描いているということでしたが、まず映画として楽しめるかどうか、という点も興味深かったです。
 ストーリーの展開は、とても面白いものがありました。端的にいうと、雑誌の特集で「日本国憲法」を扱うという設定で、ベアテ・シロタ・ゴードンか、白洲次郎か、といった話題が挙がる中で、編集長が「もっと違う観点はないのか」というところから、田丸麻紀扮する派遣のヒロインにも課題が出されます。彼女は正社員になるチャンスとばかり一所懸命課題に取り組み、その中で鈴木安蔵らの憲法研究会の存在を知ります。鈴木の日記を家族に借りて流れをつかみ、さらにGHQや戦後の様々な資料を当たって、憲法研究会草案のGHQ草案への影響を確定していくあたりが描かれていました。
 鈴木安蔵は、治安維持法の検挙者第1号であり、そのとき京大での学生であったため退学を余儀なくされました。獄中で書を読み漁り、経済学専門から憲法学へと専門を変えていきます。自由民権運動の流れを汲んだ何冊もの書は、アメリカの図書館においても置かれるようになっていたのですが、日本ではほとんど無名の憲法研究家でした。その鈴木安蔵のもとに、ハーバート・ノーマン(長野に宣教したカナダ人ダニエル・ノルマンの息子)が訪ねてきて憲法草案を作るように言ったり(こんなセリフないだろう、なんて感じで笑えましたが...)、沖縄戦を体験した米軍兵士が天皇制反対を訴えにくるといったシーンもありました。
 そして、現在も争点となっている憲法九条や平和主義について、鈴木安蔵らの草案は条項を持っていなかったのですが、そのところも描かれていました。それは、書ききれないものとして空白にした、軍隊について規定しないことが平和への思いだったということです。そもそも憲法研究会は、大日本帝国憲法の改正ということで草案を作り、大日本帝国憲法の条項の並びで憲法を作っていきました。しかし、軍隊について条項を設けるとき、国民主体の軍隊で戦争はなくなるだろうか、という議論の中で、軍隊を持たないというところまでは書けなかったようです。しかし、妻との会話の中では、女は自分の生んだ子どもを進んで戦争になんか送りたくないという思いと、女が世の中に関われば戦争は無くなる、という思いが表れてきました。男女平等という思想が戦争反対という思想と結びついているのだ、と描かれており、新しい発見もありました。
 そして、軍隊の条項を書かなかったということは、鈴木安蔵の妻俊子が見た敗戦直後の青空が、キーワードになっていて、映画の「日本の青空」の意味を教えられ、なるほど、そういう意図だったのか、と分かりました。そういう点で、ストーリーの展開はよく練られていると感じさせられ、映画としても楽しめるものでした。
 また、頑固に大日本帝国の国体護持を主張する松本烝治の姿は、ある意味、現在の安倍政権のように見苦しく情けなく描かれていました。
 また、鈴木安蔵とその妻俊子の関わりにおいて、夫に対して言いたいことが言えなかった彼女が、その自分をさらけ出すところに、憲法成立を描くということを越えて、人間のリアルな存在がありました。



 今日は、午後から、1月に天に召された兄弟の納骨式があり、バタバタしましたが、納骨式の後、わたしの連れ合いにも映画を勧め、見に行ってもらいました。




ただ、雑誌月刊アトラスの編集長は...う~ん...。大げさなわざとらしい演技で、あれだけが...。





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最終更新日  May 1, 2007 09:31:03 AM
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観ました!  
lemidori  さん
1時からの上映を二女と観て参りました。高齢者が多く驚きました。高校生の二女はもしかして最年少?(笑)
「若い人にこそ観てほしい映画だったよね…」とは二女の言葉です。ご紹介ありがとうございました。
帰りにとなりの大型店で買い物しながら、ついつい二女に熱く語ってしまいました^^;

私書箱にメッセージ入れておきます。よろしく! (Apr 30, 2007 11:34:13 PM)

ありがとうございました。  
Preacher  さん
観ていただいてよかったです。
本当、いい映画でした。
わたしも、連れ合いに熱く語ってしまいました。 (May 1, 2007 09:30:36 AM)

TBいただきました。  
M.FUKUSHIMA さん
 映画はまだ見ていませんが、機会があったら見たいと思います。でも、本当はもっと大勢の人が知っていてもいいはずの話しなのですが、あまり知られていないのは不思議ですね。 (May 1, 2007 10:18:06 PM)

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