●○なつ。の本棚○●

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2005年11月09日
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カテゴリ: ★★☆な本
私は土の中で生まれた。親はいない。暴力だけがあった。ラジオでは戦争の情報が流れていた――。重厚で、新鮮な本格的文学と激賞された27歳、驚異の新人の芥川賞受賞作。

暗い です(-"-;)

以前感想に書いた 「グランド・フィナーレ」 (阿部和重著)も 芥川賞受賞作 ですが、どちらもアンダーグラウンドに目を向けた作品という共通点があるからでしょうか、なんとなく似た印象を持ちました。

親から捨てられた子供達が住む施設で育った主人公。
「恐怖に感情が乱され続けたことで、恐怖が癖のように、血肉のようになって、身体に染みついている」 状態に。


とにかくひたすらに、 主人公の恐怖、痛み が描写されています。
あまりにも 丹念すぎてちょっとくどい かな、と思えるほど、でも読者に訴えかけてくる、ある種 「緻密」な表現力 は強く感じました。

生きながらにして朽ちているような主人公。
読んでいるうちに、どんどん暗く、深いところへ落ちていくように感じて、すごく不安になります。

でも 「僕は土の中で生まれたんですよ。だから親はいません。」

過去に決別したかのような主人公を見て、最後に少しだけ、明るい未来が見えたかな?
「グランド・フィナーレ」と違って、読後にようやく一息つけた、と思いました。


併録してある 短編「蜘蛛の声」 は、なんだか わけがわからなかった です。(読後は良くなかったです)

このわけのわからなさも、「グランド・フィナーレ」に併録されていた短編と似た印象を持ちました。(-"-;)

土の中の子供
「土の中の子供」






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最終更新日  2005年11月09日 09時43分57秒
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