nipparatの日記 囲碁 不思議体験 

nipparatの日記 囲碁 不思議体験 

Oct 30, 2018
XML
テーマ: 囲碁全般(752)
カテゴリ: カテゴリ未分類
​​

 AIの進化によって盤上の世界は激動しているが、この 1 年くらい新聞の観戦記のスタイルも以前とずいぶん変化した。「ここでAIの評価は」などというAI絡みの内容が必ずと言っていいほど見られ、解説者のコメントとAIの評価の扱いのバランスに苦労している様子が見える。観戦記者もAI時代の観戦記のスタイルを模索中なのだと思う。

 名人戦第 4 局の観戦記で気になることがあった。以下の局面で黒 1 に対し井山名人が白 2 と切った。実戦のような形になった後に白が上辺曲がり・その右黒おさえになった時に 1 線のアテの利きが命綱になる展開を見ての白 2 である。この手に関して観戦記では、「名人は 38 分苦しんで白 48 (図の白 2 )を発見。AIは瞬時に白 48 を探し当てていた~」と書いている。

実戦図


 まず、こういう手所の読みはむしろAIは苦手なので「瞬時に~」は意外だった。手持ちの天頂で調べると白 2 は候補には上がって来るが、かなり探索しても上位には来ず、やはり先までは読めていない様子だ。おそらく、性能の良いコンピューターでのみ使えるAIの評価なのだろう。

 そしてもう一つ、碁を知らない人が「プロは打った碁を並べ直せて凄い。」と少し碁を覚えればできる事に感心したり、初級者がNHK杯の聞き手が本当に分からない事を聞いていると思っていたりすることがあるが、観戦記者もプロの能力を知らないのか?とひっかかった(知ってて名人を貶めるような事を書いているならもっとけしからんが)。白 2 のような手はプロは100%一瞬で気づき候補になっている。ただ、黒をはっきり生かしてしまうのと劫材を一個減らすのが辛いのである。 38 分はこの手の発見に費やしたのではなく、その後の変化の読みと形勢判断に費やしたのである。

 残念ながら勝負に関しては人類はAIに抜かれてしまったが、AIなら膨大なシミュレーションが必要な所で直感的に急所を見抜く人間・そしてプロの能力は凄いのだ。観戦記では、それはちゃんと伝えてほしい。

​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Oct 30, 2018 09:28:29 PM
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Favorite Blog

席亭の囲碁日記 das53jpさん
朝はパン、夜はごはん pinceanaさん
玉藻 pg(ピィジィ)さん
ひよこ雛形のぴよぴ… ひよこ雛形さん
碁法の谷の庵にて 風の精ルーラさん

Comments

nipparat @ Re[1]:追悼 畑正憲氏(04/08) GO!さんへ  ぜひお楽しみください。今回…
GO!@ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) 11/11にしずおか囲碁まつりでまた伺う予定…
GO!@ Re[2]:追悼 畑正憲氏(04/08) nipparatさんへ 久能山東照宮は行ってみ…
nipparat @ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) あまり確認しておらず、返事が遅くなりす…
GO!@ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) しばらくご投稿がなかったので、案じてい…

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: