年が改まって昨シーズンはあまり良いことのなかった私の応援している中日ドラゴンズだが、年賀式が名古屋市内で行われ約350人の関係者が集まったそうなのだ。白井オーナーは年頭にあたって「体力・知力・気力、この『三力』を養い、優勝戦線を突っ走ってほしい」とあいさつしたそうで、佐々木球団社長も「昨年は残念のひと言だった。今年は心機一転、ただひと言。強竜復活、これに尽きる」と力強く語ったというのだ。ところが球団フロントとして初めて年賀式に出席した注目の落合博満GMからの言葉はなかったそうで、球団幹部によると「自分は黒子に徹したい。私が表立って、とやかく言うことはありません」と壇上でのあいさつを落合博満GM本人が辞退したそうなのだ。
退団者も含めれば総額8億3千万円もの選手年俸を減額した中日ドラゴンズの落合博満GМの手腕には球界内外で賛否が渦巻いていたのだが、落合GMの辣腕によって年俸分である8億円以上だけでなく、出来高額を加えれば実に10億円以上のコストカットが達成されたというのだ。経営状態が悪化している中日球団にとって大きな成果であり落合GMでなければできなかったのも事実だが、それ以上に球団として大事なものを失ったように思うとの報道もなされているのだ。その典型が読売巨人軍へ移籍した井端選手なのだが、10月には足首と肘の手術を受け新シーズンに向けてリハビリを続けていた井端選手に、なんと88%ダウンである年俸1億9千万円から1億6千万円ダウンの年俸3000万円を提示したというのだ。
この突出した井端選手へのダウン幅なのだが、落合GMはその理由を「彼には例年それなりのものを払っている。だが故障が多く手術まで行っている。その彼に億以上出して球団がリスクを背負えるかといった判断からの提示額だ」と語ってそうなのだ。とはいえまさに「辞めろ」と言わんばかりの提示額だったことから、当然、スポーツ紙各紙は「事実上の戦力外通告」と報じたのだ。すると中日ドラゴンズの落合博満GМは「これだけははっきりと言っておく。戦力外の選手には金銭提示はしない」と語ったそうなのだ。企業経営者の観点からみればコストカッターとしての手腕には注目すべき点が多く、保留者がゼロという結果が示すように選手を納得させての契約更改という点も評価されているようなのだ。
そんな落合GMマジックの秘密なのだが 「落合さんのうまいのは、選手が絶対に反論できない小道具を、交渉の席に持ち込んでいたことだよ」と、契約更改に同席していた球団関係者が落合マジックの種明かしをしたそうなのだ。選手との交渉は球団事務所内で行われるそうで、選手が部屋をノックし交渉の席に着くと目の前の机には野球のバットとボールにグラブが置かれていたそうなのだ。野球道具を間に置いて落合GМが口を開くと「今季は何位だった」と最初に言うそうなのだ。12年ぶりのBクラスで観客動員もナゴヤドーム開設以来200万人を割ってしまったその責任はどこにあるということで、目の前に置かれたバットやボールが選手に無言のプレッシャーを与えるというのだ。
バットを目の前にした野球論議で落合GMに勝てるのは球界でもОNしかおらず、「自分の打撃は」とか「相手投手との相性が」などと、落合GMにプロ野球選手としての技術論や数字を訴えても何の説得力もない状態で交渉が始められたというのだ。そこで落合GMから提示された条件に黙ってうなずくしかなかったというのだ。選手を大幅減俸するために落合GMらしい計算があったようで、やみくもにコストカットを言っても反発されるだけなら、あくまで「プロ野球」という土俵で話せば落合GMの勝ちは明白だということのようなのだ。バット1本で勝負という落合GMの野球哲学はユニホームを脱いでも健在だったということのようなのだ。すべて落合氏の計算通りに、8億円を超えるコストカットが行われたようなのだ。
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