過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職なのだが、政府も手は打ってきたものの依然、として他業種との格差は埋まらないそうで、ここへきて人材確保には賃金アップか外国人の活用かということで国の姿勢も揺れているそうなのだ。就職した私の子供もこの介護護労働者の一員なのだが賃金は他業種に比べて低く、昨年10月に行われた全国労働組合総連合のアンケート調査では、手当を除く正規職の平均賃金は20万 8 千円弱だったそうなのだ。厚生労働省調査の全産業平均が29万 6 千円ということなので約9万円下回っている。正規職で介護福祉士の資格を持つ私の子供の月給は手取りで約18万円となっており、15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じているそうなのだ。
長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきたことから、職業としての確立が遅れ低賃金から抜け出せないといわれているのだが、 TV 番組で介護職の実態を放映していたのだ。東京都葛飾区の特別養護老人ホームには1フロアには約40人が入居しており、大半は80~90歳代で7割は認知症という。同僚と2人で一晩に4回は巡回しおむつを替えやトイレを介助し、床ずれ防止として寝ている人の体位を変えることもさえもするそうなのだ。消灯後も徘徊する人はいるし繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。月4~5回の夜勤日は午後5時前から翌朝10時前までの勤務なのだが、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ朝食にありつけたのは昼近くになっていた。
ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけなのだが、「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」と気遣う女性入居者に、介護職員は「気にしなくていいのですよ」とほほ笑んでいたのだ。サービス残業はあたりまえで「仕事に夢を見られない。このままなら、なり手はどんどんいなくなる」とインタビューに答えていたが、専門学校の同期80人のうち介護職を続けているのは十数人で、この職員自身の手取りは初任給から2万円ほど上がり、ようやく月約23万円となったそうなのだ。この介護職の男性は同業の妻が初めて産んだ子の育休中で、共働きでなければ生活は成り立たないことから、もう「保育所を確保できるかが不安でならない」とこぼしていたのだ。
関係者は「人件費率は7割近くで赤字になる。内部留保をため込む法人は人件費を削って介護の質を落としているのでは」と指摘し、報酬に常勤労働者の比率に応じて加算する仕組みを作れば解決するとみちるのだ。厚生労働省も社会保障審議会で介護報酬の使い道について議論を始めているそうなのだ。介護報酬とは保険料と税金に利用者の自己負担を元に、介護施設に払われる公定料金なのだが、今年末に報酬の引き上げを決め来年度から介護職員の待遇改善を実現できるかどうかが焦点のようなのだ。「賃金や労働条件が低いままでは離職者がますます増え、人手不足が深刻化する。国は介護報酬を引き上げるなど処遇改善を図っていくべきだ」とされているのだ。
政府の産業競争力会議では外国人の積極活用を打ち出しているのだが、田村憲久厚労相は外国人を無制限に受け入れると介護業界全体の賃金水準低下を招くと懸念する。いままでも経済連携協定に基づいてインドネシアなどの介護労働者1000人強を受け入れてはきたが、目的は「研修」で、厚生労働省も介護報酬で賃金を増やし日本人中心に人手不足を解消していく考えのようなのだ。それでも月平均の介護保険料は制度発足時の2911円から4972円に膨らんでおり、保険料などが財源の介護報酬で賃金増を図れば介護保険料は5000円を突破するのは確実となっている。負担が増すお年寄りや保険料を折半する労使の理解を得られる保証はないのが実態なのだ。
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