消費税率アップで社会保障費の財源の一部を手当てすることができたのだが、財務省はまだまだ増税の手綱を緩める気はないみたいで、このことは基幹税である法人税率の引き下げの要望が経済界に根強いためだ。「消費税1%分を上げた負担を法人税でカバーするなら、5%程度くらいは法人税を下げないといけない計算」ともいわれている。消費税率の引き上げ後の半年程度はマイナス成長に陥るとの見方が強く、景気刺激のための減税や財政支出を求める要望が高まるのは必至なのだ。そこで政府与党内で次々と増税案が浮上しているそうなのだが、背景にあるのは法人税の実効税率の引き下げで、代替の財源確保は容易ではなく場合によっては政治的混乱となる恐れもあるというのだ。
安倍政権は閣議決定した成長戦略の目玉として法人税の実効税率引き下げを打ち出しているのだが、これは諸外国に比べて高いとされている法人税を引き下げ企業の競争力を強化しようという説明をしているのだ。今の日本は財政難でありただ法人税率を引き下げただけでは税収が大幅に減ってしまうことから、財政当局としては税収が減ってしまう事態は何としても避けたいところなのだ。そこで法人税に代わる代替財源をどのように確保するのかが焦点となっているわけなのだが、当初は法人税減税の恩恵を受ける特定の大企業を中心に適用されている各種優遇税制を廃止するというプランが出されたのだが、法人減税に賛成した大企業は優遇税制の見直しには大反対したのだ。
この各種優遇税制は実はものすごくいっぱいあって、エネルギー関連とか設備投資資産の償却関連が特に多くて、大企業は結構その恩恵を受けているそうなのだ。ですから実はすでに法人税の実質的な負担率は欧米諸国なみに低いという大企業は少なくないというのだ。財源を工面する必要がある企業の活力を減税や規制緩和で、設備投資を刺激して持続的な経済成長のサイクルをつくろうとしている安倍晋三政権だが、「法人税を下げて海外の優良企業に日本に来てもらう」というレベルにするには、シンガポール並みに20%を切るくらいにしないとならないことか、らさすがに無理とされているのだ。現実には法人税の減税をしたからと言って企業の手元現金が増えて経済が劇的に元気になることはないのだ。
中小企業の税負担を軽減するための軽減税率制度の見直しや、公益法人に対する優遇制度の見直しなども検討されたのだが、いずれも該当する企業等はこれに反対していたのだ。法人税減税は「大企業優遇」と批判されがちなのだが、確かに法人税減税の直接的な恩恵を受けるのはグローバルな経済活動をしている一部の大企業となっているのだ。つまり国内で仕事をしていてかつその多くは赤字である中小企業には、今回の法人税減税は関係がないということのようなのだ。しかも今年度の税制改正で復興特別法人税が1年前倒しで廃止さることになったのだが、東日本大震災後の復興予算がいらなくなったわけではなないのだ。復興予算は必要だが法人が負担するのはやめようということになっただけなのだ。
そこであらたに浮上してきたのが法人税とは直接関係しない税を増税するという案で、自民党内部では携帯電話に課税する方法やパチンコに対する税金など庶民から税金を徴収する様々なプランを検討しているそうなのだ。多少の増税で価格が上がってもなかなか手放せない存在になったのが携帯電話で、通信業界は景気に大きく左右されにくい業種に育っていて課税しやすいとの思惑も働いているそうなのだ。そして遊戯と定義されているパチンコも大きな産業となっているうえに脱税なども多いことから標的になっているというのだ。しかも「損して得とる」の発想に乏しい財務省は減税の大盤振る舞いによる税金の落ち込みだけは、なんとしても避けたいとの思いでいっぱいのようなのだ。
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