自転車を運転中に信号無視など「危険行為」を繰り返した人に、安全講習を課す改正道交法が施行された昨年 6 月から今年 5 月までの 1 年間で、運転者の事故死が全国で 517 人となり施行前の 1 年間より 89 人減ったことが警察庁の集計で分かったという。減少幅は過去 5 年間で最も大きいことから警察庁の担当者は、「改正法の施行で安全意識の向上に一定の効果が出ている」と分析し、改めて「自転車は車両の仲間。交通ルールを守ってほしい」と呼び掛けているそうなのだ。警察庁によると改正道交法が施行後 1 年間に起きた自転車関連の事故は 13 . 1 %減の 9 万 3484 件で、このうちミニバイクや車との事故が 13 . 3 %減の 8 万 3860 件で歩行者との事故は 5 . 4 %減の 2417 件だったそうなのだ。
昨年の 6 月に自転車に関連する道路交通法が改正され、この改正によって道路環境も少しずつではあるが確実に変化を見せているそうなのだ。首都圏においては大通りを中心に車道の左端へ自転車レーンが整備され、左側通行を喚起する矢印のペイントなども見受けられるようになってきたという。しかし肝心の自転車利用者にとっていまだこれらの法律は浸透していないというのが実情のようで、自転車に関する啓蒙活動やイベント運営を手掛けるチームキープレフト・サイクルモード実行委員会が実施したアンケート調査によると、改正道交法内に記載された「自転車運転の危険行為 14 項目」について、「内容を理解し遵守している」という回答は全体の 4 割未満という結果が出ているそうなのだ。
アンケートの回答者の 6 割以上が改正道路交通法を遵守できていないと意識しており、このアンケートが自転車イベントの来場者を対象に行われたことを考えると、実情はさらに悪いものといえるようなのだ。これは買い物には日常的に自転車を利用している私の感覚ともかなり一致しているみたいで、右側通行をはじめ歩道を通常速度で走行するだけでなく、信号無視にイヤホンやスマホの「ながら運転」といった自転車はよく目にするし、そうした自転車と不意に衝突しそうになったことも何度もあるのだ。自転車は「法は整えたが、それが浸透しているとはいえない」と言う野毛現況のようで、法改正以前から自転車利用者の意識に大きな変化はなく、依然として危険な運転が横行しているというのが現実のようなのだ。
この状況を行政側から改善しようとした場合にはさらなる法規制や違反時の罰則強化ということになるのだが、具体的には「自転車のナンバープレート装着化」や「法規違反者の即時罰則金徴収」に「自転車運転免許制の導入」というところまで行くそうなのだ。自転車の「ナンバープレート」や「免許制」というと極端だと思うのだが、実際に地方自治体が条例レベルで動いた例もあるそうなのだ。東京都が自転車にナンバープレート導入を検討という報道があって、現在は道交法の改正によって議論も収束しているようなのだが、これも自転車の危険な状況を憂慮した動きのひとつだとされている。これはクルマのようにひと目で個体識別ができることは違反の抑止効果があると考えられるからだといわれているのだ。
自転車の「全車登録」など非現実的に感じられるが、昭和 29 年までは自転車の「全車登録」と同様のものが存在していたそうなのだ。これは「鑑札」と呼ばれる自転車税を徴収するためのシステムだったそうなのだが、目的こそ違うのだが「全車登録」と「認識票の設置」は過去に実績があるというのだ。また現在動いているものとして兵庫県で自転車の損害賠償保険加入が義務化され、続いて今年には大阪府でも同様の条例が施行されているというのだ。こちらの目的は事故の抑止ではなく起きてしまった事故への対処になるのだが、ここにも「自転車は現状では危険」という意識があるからだとされており、これらの事例から行政は自転車もほかの車両と同等の環境にすることを目指しているようなのだ。
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