自転車を運転中に信号無視など「危険行為」を繰り返した人に、安全講習を課す改正道交法が施行されているが、これによって運転者の事故死が全国で 517 人となり、施行前の 1 年間より 89 人減ったことが警察庁の集計で分かったという。しかも私の住んでいる愛媛県や首都圏においては大通りを中心に車道の左端へ自転車レーンが整備され、左側通行を喚起する矢印のペイントなども見受けられるようになってきたというのだ。ところが肝心の自転車利用者にとっていまだこれらの法律は浸透していないというのが実情のようで、ある自転車団体が行ったアンケートでも改正道交法内に記載された「自転車運転の危険行為 14 項目」について、「内容を理解し遵守している」という回答は全体の 4 割未満という結果が出ているそうなのだ。
この状況を行政側から改善しようとさらなる法規制や違反時の罰則強化を考えており、具体的には「自転車のナンバープレート装着化」や「法規違反者の即時罰則金徴収」に「自転車運転免許制の導入」ということを法律化しようとしているというのだ。現在でもいくつかの自治体や警察署で法的拘束力はないものの、学生をはじめ一部の利用者を対象に「免許証」を交付するところも出てきているそうで、これらの事例から行政は自転車もほかの車両と同等の環境にすることを目指しているということのようなのだ。自転車は厳密には「軽車両」に区分され「車両」とは異なるのだが、その手軽さゆえに「『歩行者』に近い意識」が強いのが現状で、これを行政が「『車両』に近い意識」にシフトさせようとしているようなのだ。
交通安全の観点から考えれば行政のこのような対応は自然な流れなのかもしれないのだが、例えば自転車は「軽車両」であるため車道と歩道の区別がある場所では原則として、車道の進行方向左側を走らねばならないのだ。これを守らないと「通行区分違反」の危険行為として摘発される可能性があるし、「自転車専用通行帯(自転車レーン)」がある場合には自転車は原則としてそこを走らねばならないのだ。また自転車を「車両」とする意識を高めるためさらに効果的かつ確実であろうものが、クルマなどではすでに行われている「罰則金の即時徴収」だというのだ。自転車での道交法違反における罰則は重大かつ悪質な違反でない限り、 3 年間で 2 回の注意を受けた場合に有料の講習を受けるというものとなっている。
しかし自転車利用者の現状を鑑みるにつけこの罰則では弱いと感じる人も多く、それは行政側だけでなく警察関係者にしても同様だともいわれている。つまりこの先自転車対策の切り札として「罰則金の即時徴収」が出てきたとしてもなんら不思議はないということなのだ。「身銭を切ることがないよう、法規そのものを理解する」というのは後ろ向きの考え方ではあるが、かつてクルマにおいて「運転中の携帯電話の使用禁止」や「シートベルト着用の義務化」などが罰則化することで徹底されるようになったという事実もあり、これはより現実的な路線だといえるようなのだ。実際に海外の事例を見てみると国ごとに細かい差異はあれけれど、「自転車先進国」と呼ばれるヨーロッパの国々においては「罰則金の即時徴収」はなされているそうなのだ。
車道の逆走や歩道の走行などは「即時罰則の対象」になるそうで、ドイツでは罰則金の種類も細かくたとえば「ブレーキやチャイムの未装着、あるいは整備不良」は 15 ユーロだし、「自転車で走行中に携帯電話を使用」は 25 ユーロの罰金だというのだ。さらに「赤信号無視」は 60 ユーロ以上で「閉じた踏切への侵入」は 350 ユーロなどとなっているそうなのだ。ヨーロッパと日本は道路事情や自転車の利用事情が違いすぎるという意見もあるが、しかし先の道交法改正以降は日本の状況はヨーロッパに一歩近づいてきているというのだ。これらも自転車の危険な状況を憂慮した動きのひとつだとされており、これはクルマのように事故を起こしたら最悪実刑判決を受け「交通刑務所」に服役することになるかもしれないというのだ。
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