自転車シェアリングがビジネスパーソンを中心に希望が多くなっているそうで、利用回数をみると一昨年は 55 万回だったが昨年は 100 万回で、そして今年は 200 万回を見込んでいるというのだ。社会的な交通手段としての自転車の役割拡大に向け、国に計画作成を義務づける「自転車活用推進法」が国会で制定され、環境に優しく災害時にも動ける利点を挙げ安全に配慮しながら活用を進めて車依存を減らすことが、国民の健康や交通混雑の緩和につながると明記されているという。専門家は「交通の転換を図る一歩」と評価しているが、国として初めて自転車政策全般の基本的な方向性を定めた法律で、超党派の議員連盟の提言を基にした議員立法として本会議において全会一致で可決成立したというのだ。
この「自転車活用推進法」は自転車の活用推進を国や自治体の責務とし、目標や制度・財政上の必要措置を盛り込んだ「自転車活用推進計画」を定めるよう政府に義務づけており、都道府県や市区町村にも計画作成の努力義務を課し公共交通機関や住民の協力も求めているというのだ。自転車を公共的な交通に位置づけまちづくりに取り組む動きは、近年自治体レベルで先行しているのだが私の住んでいる愛媛県は自転車交通には力を入れているのだ。自転車政策に詳しい山中英生徳島大教授は「後押しする法律ができ自治体がより政策を進めやすくなる」と分析している。自転車利用者の多い都市を中心に総合的な活用計画が作られ、法の公布から6カ月以内に施行されるがこうした自治体は少数派だという。
自転車政策に詳しい山中英生徳島大教授は法の理念実現には、住民に最も身近な市区町村のやる気が重要と指摘した上で「問題を抱えていたり観光活用を考えていたりする自治体は少なくない。法制定で先行事例の蓄積も進み、参考にできるだろう」と語っている。そして市区町村の取り組みには費用面や住民合意などの課題があるが「国土交通省も支援しやすくなるのでは」と期待しているそうなのだ。「自転車活用推進計画」では重点施策として14項目を列挙して取り組みを進めるため、国土交通相を本部長として官房長官や厚生労働相ら関係閣僚でつくる自転車活用推進本部を国交省に設けるとしている。さらに関係団体がイベントを行ってきた5月5日を「自転車の日」とし国民に広く理解を呼びかけると定めたという。
自転車の交通ルール違反への対応や自転車事故に伴う賠償の制度化について検討することも政府に求めているが、自転車交通を研究する三井住友トラスト基礎研究所の古倉宗治研究理事は「国に自転車政策への関わりを義務づけたのは大きい。従来は、やるなら地方の責任でというスタンスがあった。自治体に対する努力義務規定は全国レベルで自転車への意識が高まるきっかけになる」と指摘している。またNPO法人自転車活用推進研究会の小林成基理事長は「車中心主義を見直し、自転車を主要交通手段と位置づける内容。理念をどう具体化するかが大切」と話している。また国土交通省に自転車活用推進本部を置き、基本方針に即した目標や講ずべき措置等を定めた推進計画を作成する。
この「自転車活用推進法」は自転車の特長としてエコや静粛性・機動性などを挙げ、自動車への過度な依存を低減し交通体系における自転車の役割を拡大することを基本理念としているが、自転車にもナンバー制やかんたんな免許制に類する制度の導入も考えられているそうなのだ。自転車専用道路や通行帯の整備や路外駐車場の整備による時間制限駐車区間の削減に、シェアサイクルの整備・自転車競技施設の整備・交通安全教育および啓発など、重点的に検討・実施すべき施策を基本方針として定めている。関係者によると自動車が優先の道路状況から変えていかないという。、自転車道に限定した法律は「安自転車道整備法」があるとされているが、走行空間整備やルール徹底が求められているというのだ。
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