大手ファミリーレストランが 24 時間営業を見直して営業時間を短縮するなど、人手不足の影響が広がっているそうなのだが、アルバイト求人情報雑誌を運営する会社によると、昨年 11 月のアルバイト時給の全国平均は 1007 円で、前年同月比で 21 カ月連続の時給上昇し 1000 円越えは 3 カ月連続となっているそうなのだ。アルバイト求人情報雑誌を運営する会社の調査では外食産業の平均時給は 968 円と全業種の平均に比べて賃金は低いこともあって、人手不足はより深刻だというのだ。外食産業の有効求人倍率は 3.13 倍で、全職業平均の 1.31 倍と比べてもかなり高いというのだ。アルバイト求人情報雑誌の編集長によると外食業界では昨年の秋以降「既存店の人手不足が深刻で、新規出店ができない企業も出てきているそうなのだ。
人手不足が深刻になる中で外国人労働力の重要性も高まっており、安倍首相も人口減少に伴って職場での深刻な人手不足が起き始めていることや、コミュニティが維持できなくなりつつあることに危機感を募らせてきたという。昨年あたりから内閣官房に非公式のチームを作って外国人受け入れ政策について調査してきているというのだ。これら外国人労働者の募集に関してなのだが、サービス産業向けに動画を活用した人材教育システムを提供している会社では英語・中国語・ベトナム語・ミャンマー語・日本語の 5 つの言語で、外国人従業員が接客マナーや作業ノウハウを学べるサービスを開始したそうなのだが、既に吉野家と養老乃瀧が導入しているそうなのだ。
このサービス産業向けに動画を活用した人材教育システムでは、飲食店やサービス業の店で働く外国人留学生に日本と母国との文化や接客マナーの違いなどを動画で教えることで、現場での教育の負担を減らすことが狙いだという。現在の外食産業の深刻な求人難はリーマン・ショック直前までの状態とよく似ているそうなのだが、当時の外食産業ではパート・アルバイトを正社員にすることなどで人材を囲い込む動きが広がりつつあったという。ところがリーマン・ショックで消費は冷え込んでしまってそうした動きは立ち消えになってしまったのだが、関係者によると今回は違った展開になるとされており、それは現在の人手不足はまだ序盤戦でこれからが本番だと考えるからだというのだ。
その根拠は日本銀行がデフレ脱却に向けた金融緩和を推進中であることで、日本銀行は「消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に 2 %を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」という方針を明示しているからだというのだ。物価が安定して上昇するには経済が活性化して失業率が改善し賃金が力強く上昇する必要があるが、昨年 11 月の完全失業率は 3.1 %でこれは歴史的な低水準とされている。だからこそ人手不足も深刻だということなのだが、消費者物価指数が目標の 2 %からはほど遠い以上、さらに完全失業率を引き下げる余地があるというのだ。政府や日本銀行もそれを望むはずで外食を含む様々な業種でさらに人手不足が進むということでもあるとされているのだ。
外食産業では人手不足による採用条件の緩和で、店側から要請してもシフトに週 1 回か 2 回しか入ってくれないスタッフが増えている。そうした条件で集めた以上は致し方ないことだが、だからこそスタッフが足りないときにシフトに入ってくれるモチベーションの高いスタッフを見出すことが今まで以上に大切になるというのだ。同時にそうしたスタッフは仕事への取り組みも熱心なので必然的に接客スキルも高くなり、高単価商品を売っていくうえでも欠かせない戦力になるはずだというのだ。さらに人手不足が進むことで外食企業はお客からだけではなく、従業員からも「選別」されていることを一層意識せざる得なくなるというのだ。そうした傾向は外食にとどまらず他産業にも広がっていくはずだというのだ。
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