実際にできたなら私も一度は行ってみたい日本のカジノだが、政府は有識者による 統合型リゾート 推進会議 を開きカジノの制度設計の大枠をまとめたという。ギャンブル依存を助長するという懸念が強いことを踏まえ、 統合型リゾート施設の認定数やカジノの施設面積・入場回数などを規制するわけなのだが、政府は統合型リゾート実施法案を策定し秋の臨時国会に提出する方針だとされている。もっとも「観光先進国」を目指す統合型リゾート整備で焦点になっているカジノ規制について、有識者による推進会議は提言で具体的な基準を示さなかったのだが、これはカジノ導入に世論の賛否は割れており、規制と利便性のバランスをどう取るかは極めて微妙な政治判断だからだとされている。
統合型リゾート実施法案の策定に向け政府・与党内の今後の調整は容易ではないが、統合型リゾート施設には国際会議場・展示場・劇場・美術館など文化施設だけでなく、観光案内施設や宿泊施設の4施設の併設を義務付けカジノに偏らない運営を担保するとされ、現在は大阪府など複数の自治体がIR誘致を検討しているというのだ。事業者から納付金と利用客から入場料を徴収し公益に還元する予定で、入場制限には個人番号カードを活用し本人確認や回数を管理するという。統合型リゾート推進会議の議長は「海外と比べて遜色のないきめ細かな規制を導入することができた」と提言内容に自信を示し、「国民的な議論を尽くしたうえで、詳細な制度設計を進めていただきたい」と政府に求めた。
統合型リゾート実施法案の策定に 向け全国でいくつの区域を認定するかは「政治的思惑」も絡む難題だとされ、区域を絞りすぎると「落選」した自治体に不満が募る可能性はあるうえ、暴力団など反社会勢力の関与やマネーロンダリングなどの犯罪を抑止するためカジノ事業は更新が必要な免許制とする方針だとされている。独立行政機関「カジノ管理委員会」を内閣府の外局として新設し、カジノ事業者の役員や株主、取引先が暴力団と関係していないか調査する。そのうえ昨年の臨時国会では根拠法となる「IR整備推進法」の審議が紛糾し、与党の公明党が採決に自主投票で臨む異例の事態になったのだが、法案に盛り込む規制が緩いと自民党と公明党の溝はさらに広がるということも言われている。
一方で日本維新の会は統合型リゾート実施法案の策定に積極的で、むしろ自民党に近いと言われている中で、法案作成過程では政府・与党が主張する「世界最高水準の規制」の実効性が問われている。富裕層向けにサービスを提供する仲介業者は不透明な資金の流れを誘発する恐れがあるため認めない方針だし、個人番号カードで本人確認や入場回数を管理する方法を巡っては推進会議メンバーから「マイナンバーカードの普及率が低いことを考えると現実的ではない」という慎重意見が出たという。それでも提言に盛り込まれたのはできるだけ多くの規制をかけて政府の姿勢をアピールする必要があるからだが、政府は規制を厳しくするほど参入をためらう民間事業者が増えるというジレンマを抱えているそうなのだ。
統合型リゾート施設にはカジノに加え国際会議場やホテルなどの併設が義務付けられるとされているため、カジノ規制が統合型リゾート施設の経営の障害になると懸念する声がある。統合型リゾート実施法案が成立すればいよいよ企業や自治体が注目する具体的な開業場所や時期の議論が始まり「誘致レース」が加速することになるという。この件で米国を中心にカジノホテルチェーンを運営するブラックハースト氏は「面積制限は投資意欲にマイナス影響を与えるのではないか」と、東京都内のメディア向けイベントで統合型リゾート推進会議の規制に疑問を呈したというが、政府は統合型リゾート施設実施法案を秋の臨時国会で成立させたい方針で、急落した安倍内閣の支持率が回復するかどうかもカギになりそうだという。
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