仁志・多喜馬の戯言日記&戯言通信

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2017年08月23日
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 私が住んでいる松山市では今年は国体ムード一色なのだが、生誕150年を迎えるのが明治期の俳人で歌人の正岡子規なのだ。その正岡子規の未発表の俳句5句が発見されたそうで、子規が34歳で没する前年の明治34年の正月に作られた「歳旦帳(さいたんちょう)」にあったというのだ。今年生誕150年を迎える子規の俳句がまとまって新たに見つかるのは極めて異例で、東京の「子規庵保存会」が発表したそうなのだ。この「歳旦帳」は子規が亡くなる前年の明治34年の正月に年始のあいさつに訪れた客の記帳用に子規が用意した芳名録のようなもので、元旦から数日間に子規の家に置かれ弟子の俳人である河東碧梧桐ら来客に加え子規自身も俳句や絵を書き込んでいたというのだ。

この「歳旦帳」というのは子規の全集などでその存在が紹介されたことはあったが長年所在不明になっていたそうで、平成26年に子規の高弟の関係者が東京の「子規庵保存会」に寄託していたものを、 神奈川大名誉教授で国文学者の復本一郎さんが 調査していたそうなのだ。その結果「寝後れて新年の鐘を聞きにけり」や「初夢や巨燵(こたつ)ふとんの暖まり」など無署名でだれの句か分からなかった5句を筆跡などから子規の未発表句と断定し、全集未収録の子規の作品として今回発表したそうなのだ。また 「歳旦帳」に記された河東碧梧桐や佐藤紅緑の俳句だけでなく、伊藤左千夫の短歌などもいままで知られていなかった作品だとされ、そのうえ未発表の自画像2点も描かれているというのだ。

明治期の正月の情景を簡潔かつ写実的に描いた句が並んでいることに関して、「歳旦帳」を調査していた神奈川大名誉教授で国文学者の復本一郎さんは、「いずれの句も内容が良いことに加え、晩年の子規が俳句の『分かりやすさ』を追究していたことがよく分かる貴重な発見だ」と話しているという。また新たに発見された2点の自画像は今も教科書などで親しまれている横顔の写真を子規が気に入り参考にして描いたものだそうで、晩年の子規は病気で寝たきりの状態にあったが「たまたま体調が良かったのでは」と語っている。しかも資料全体から晩年の子規と周囲の人々の交流が生き生きと伝わってくるし、一度に子規の未発表句が5句も見つかるのは極めて異例だというのだ。

このほか子規の友人だった画家の中村不折が病床の子規を描いた絵なども収められているそうで、「歳旦帳」は子規の命日である「糸瓜忌」に合わせて東京都根岸にある子規庵で展示されるそうなのだ。また正岡子規の関連資料と言えば全集未収録の書簡1通が見つかっていたものの発表もなされており、この書簡は29歳のときに故郷の松山に住む叔父の大原恒徳に宛てたものでだというのだ。これは病苦との闘いを強いられ続けた子規の日常や人柄が伝わる貴重な資料だそうで、書簡は明治29年12月1日付で巻紙に毛筆で書かれているという。この資料も昨年4月に神奈川近代文学館へ寄託され調査されていたというが、書簡は神奈川近代文学館で初公開されているそうなのだ。

子規の故郷である松山に住む叔父の大原恒徳は当時の国立銀行員で、子規を物心両面で支えていたとされている。書簡では「病気さわぎにて御世話ニのみ預り」と東京の子規宅を大原が訪ねた際に胃痛のためにもてなせなかったことを詫びている。さらに「先日之のかすりの代価差上候事を忘れ候」と、着物代を渡し忘れたことに触れ後に送金するとしている内容となっているそうなのだ。子規は結核性の脊椎カリエスに苦しみながら俳句の革新に尽力したとされるが、明治29年は運動が本格化した時期にあたるという。神奈川大名誉教授で国文学者の復本一郎さんは「度重なる病を押しての俳句革新だったことが改めて分かる。無頓着でおおらかと評された人間性も伝わる興味深い資料」と話している。






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最終更新日  2017年08月23日 01時37分25秒コメント(0) | コメントを書く


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