私の住む愛媛県伊方町にある四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを広島県と愛媛県の住民が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁は申し立てを却下した今年3月の広島地裁決定を覆し、四国電力に原発の運転差し止めを命じる決定を出した。裁判長は「阿蘇山の火砕流が敷地に到達する可能性が十分小さいとはいえない。立地として不適」と断じ、重大事故で「住民の生命・身体への具体的危険がある」と認めたのだ。この判決を受けて 原子力規制委員会は原子力発電所の周辺の火山で破局的噴火の可能性が高まった場合に備え、原発を止めるための判断基準を作成することを決めたそうで、火山活動の状況に応じて段階的な目安を定め1年後をめどに一定の方向性を示す方針だという。
破局的噴火は火砕流が数十~100キロ・メートル以上の広範囲に到達するような噴火で、巨大なくぼ地「カルデラ」が生じることから「カルデラ噴火」とも呼ばれるが、広島高裁は昨年12月に四国電力伊方原発3号機の敷地に、約9万年前の阿蘇山の火砕流が到達した可能性が「十分小さいと評価することはできない」として運転差し止めを命じた。近くに火山を抱える原発は多く司法判断による停止リスクが高まったことで、電力各社の経営や政府のエネルギー政策に影響が出る可能性もあるという。原子力規制員会は原発の敷地内に火砕流が到達する恐れがあると判断した場合などに原子炉等規制法に基づいて停止命令を出せるが、停止を命じる際の具体的な基準はないという不完全な規定となっていたのだ。
広島高裁の判決を受けて関西電力は 運転期限の40年を迎える福井県にある大 飯原発1・2号機の廃炉を決め地元や国に報告したという。大飯原発は国内で廃炉が決まった原発では最も大きくほかの原発の存廃の判断にも影響を与えそうだという。大飯原発1・2号機を再び動かすには安全対策費が1基あたり2千億円ほどにふくらむ見通しで、運転を最長20年延ばしても採算がとれないと判断したというのだ。岩根茂樹社長は大阪市の本店で会見し「課題を解決しようと検討したが、有効な方法を見いだせなかった」と述べたという。大飯原発1・2号機は特殊な構造の炉で原子力規制委員会の審査をクリアするには、建屋の壁を厚くするなどの安全対策の工事が必要で、運転時の保守点検などに支障が出る恐れがあるというのだ。
それとは別に東京電力福島第一原発の事故で多くの人々は原発に強い恐れを抱いたわけなのだが、関西電力が福井県に持つ3カ所の自社原発で保管している使用済み核燃料を、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が青森県むつ市に建設した一時保管のための 「中間貯蔵施設」に移す方向で検討していることがわかったという。福井県から県外へ移すよう迫られていたことから関西電力の岩根茂樹社長は今年中に搬出先を示すとしていた。政府が頭を痛めるのは最終処分場の問題だけではないみたいで、関係者によると関西電力はほかの地点も検討しているがすでに施設があるむつ市が有力としたそうなのだが、いずれも搬出先となる自治体の同意が必要で実現には難航することも予想されている。
政府等が進める最終処分場施設の計画は2020年までに候補地を選び、その後に20年にわたる地下試験や検証を行い、そこから10年以上かけて処理場建設へ進むという息の長いものだというが、候補地は地下水が少ないことが必須条件だが廃棄物の処分方法が決まらない「トイレなきマンション」の解決は容易ではないとされている。関西電力の福井県にある高浜原発や大飯原発に美浜原発の3原発では使用済み核燃料をプールに入れて保管しており、全体の約7割が埋まっているとさえ言われており、関西電力によれば再稼働が進めば7年ほどで満杯になるという。このため金属製の専用容器に入れて一時的に保管する「中間貯蔵施設」の確保を急いでいるわけだというのだ。
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