飲み会の多いこの季節毎日楽しくお酒を飲んでいるのだが、私のように酒好きな人にとって飲み会は楽しいもので、誘われるなら毎晩のように酒席に参加するという気でいるのだ。そして「酔っているときほどお風呂に入りたくなる」というのは私だけではないと思うし、酒を飲むとなぜか気が大きくなって心臓等に悪いと知りながら「お風呂で汗をかいて少し酒でも抜こう」とやらかしてしまうのだ。実際には汗をかいてもお酒は抜けないのだが、この季節に注意したいのが飲酒後の入浴で、いわゆる「ヒートショック」によって頭がカーッと熱くなった後に全身が心臓になったかのような激しい動悸が起き、急に立ち上がった途端今度はめまいに襲わるという命が危険にさらされる可能性もあるというのだ。
飲酒時の入浴は世間一般的に NG だといわれており、それはみんな知っていることなのだが飲酒後の入浴はどんな根拠でいけないといわれるかというと、寒さの厳しい 12 月から 3 月までの入浴時の事故死が多いというのだ。ほとんどが 65 歳以上の高齢者だそうで、入浴時の事故死はこの 10 年で 1.7 倍に増えているそうなのだ。とかく日本人はシャワーで済ませず肩までしっかり湯船につかる人が多いこともあってか、世界的に見てもダントツで入浴時に溺死する人が多いともいう。そしてアルコールを飲んでから入浴するとこの危険はさらに増すのだそうで、 『酒好き医師が教える最高の飲み方』という本を書いた、ヒートショックに詳しい横浜労災病院院長の梅村敏医師はこうヒートショックを説明している。
「急激な温度変化によって体がダメージを受けるのがヒートショックです。ヒートショックには血圧の変動が深く関わっています。特に寒い時期の入浴そして飲酒後の入浴は、血圧の変動が激しくなり非常に危険です」という。そもそも血圧は気温によって変動するのだそうで、気温が高いと血圧は下がり寒くなると上がるというが、「気温が低いと、体温を下げないようにと血管を収縮させ、血圧が上がります。一方で気温が上がると、熱を放出して体温を下げようとして血管は拡張するので血圧は下がります。このため、夏は血圧が低くなり、冬場は血圧が上がるのです」と解説している。そして冬場に寒い浴室でお風呂に入ると体が感じる気温・水温は激しく上下動するので血圧も大きくアップダウンすると警告している。
暖かい部屋から寒い脱衣所に行くと血圧が上がり、湯船につかると交感神経が緊張して血管が収縮しさらに血圧が上がるという。そのまましばらくつかっていると体が温まり血圧が下がってくるのだが、湯船を出て寒い脱衣所に行くとまた血圧が上がり、この急激な血圧の変化は体への負担が大きくなるという。特に高齢者で普段から高血圧の人は動脈硬化が進んでいて急激な血圧変動に対応できなくなるというのだ。高齢者で高血圧だと入浴時に心筋梗塞や脳梗塞あるいは脳出血などで重篤な症状に陥る危険性が高まり、高齢者は体位の変化に対応して血圧を一定に維持する能力が衰えてくるため、湯船などから立ち上がったとき頭に血が十分に回らず倒れる確率も高まるというのだ。
飲酒後の特に寒い時期の入浴の危険性を知っても私のように「それでもその日のうちにさっぱりしたい」と思う人は少なくないはずだが、入浴するのはアルコールが代謝されアルコールの影響がなくなった後にするべきだという。それでもなおなるべく早くさっぱりしたいという人には、「ぬるめのシャワー」がお勧めで、梅村医師も「ぬるめのシャワーであれば、湯船につかるより体の負担が少なくなります。そして万が一、倒れたとしても溺死することはまずありません。気を失って倒れた際に怖いのは溺死です。日本人は湯船につかる習慣があるため、他国に比べて圧倒的に湯船での溺死者が多いのです」という。それと冬場は脱衣所や浴室を暖めて温度差をできるだけ少なくするのを忘れずに実行することだというのだ。
キーワードサーチ
コメント新着