働き方改革関連法案をめぐり安倍首相が裁量労働制に関する国会答弁を撤回した問題で、厚生労働省が調査結果を公表したことを受け野党 6 党は、国対委員長会談を開き政府に法案の提出を見送るよう求めていく方針を確認した。立憲民主党の辻元国対委員長は「データや答弁に一点の曇りでもあれば、働く人たちの働き方や人生や命の問題につながるので、これはやり直し。一番元の根幹のデータだと思っているので、根幹のデータがごまかしであったなら、この法案はボツです」と述べた。厚生労働省が裁量労働制に関する国会答弁の基になったデータの調査結果を公表したことを受け、立憲民主党や希望の党など野党 6 党の国対委員長が会談し、き方改革法案の提出は認められないとの認識で一致したという。
政府・与党ペースで進む今国会だが安倍晋三政権が目玉政策に位置づける働き方改革関連法案をめぐり裁量労働制に関する厚生労働省のデータに不備があったことを受け衆院予算委員会は終日混乱したという。衆院予算委はデータ不備問題に関する厚生労働省の調査結果をめぐり断続的に中断し、立憲民主党と希望の党の議員らは途中から退席したという。今国会では初めての事態で政府は火消しに躍起だが、安倍首相は当初のデータを基に「平均的な方で比べれば一般労働者より労働時間が短いというデータもある」と答えた。野党の指摘を受けると自らの判断で撤回と謝罪に踏み切っている。今国会を「働き方改革国会」と命名したのは安倍首相でありそれだけ事態を深刻に受け止めたためだとされている。
立憲民主党など6野党が開いた合同ヒアリングでは、謝罪する厚生労働省幹部に出席者が次々と集中砲火を浴びせ、データに疑義があることについて厚生労働省の事務方は加藤勝信厚生労働相がデータの疑義を把握していたことを知っていたと語ったという。野党側は働き方改革関連法案を速やかに成立させるために政府が答弁で有利なデータを意図的に用いた-との筋書きを描いており、立憲民主党の辻元清美国対委員長は記者団に「今後、事実関係が明らかになれば加藤氏には大きな責任がある」と述べ辞任を迫る可能性まで示唆した。加藤勝信厚生労働相も予定していた自身の政治資金パーティーの延期を決めたそうで、渦中の閣僚がパーティーを開けば野党の批判が強まるのは明らかだったからだという。
安倍首相は厚生労働省が出したデータを答弁しただけとの声もあるが、自民党幹部は「昨年10月の衆院選で圧勝したこともあり、気の緩みが出ている」と厳しい声があげている。二階俊博幹事長は記者会見で「野党は何かあれば国会対策上の対応を取ってくる。しっかり対応することが必要だ」とクギを刺し、自民党の岸田政務調査会長も記者会見で安倍総理大臣が国会答弁を撤回したことについて、「総理大臣の発言の基になるデータは、しっかりとしたものが用意されるべきで、あってはならないことだ」と指摘している。公明党の石田政務調査会長は記者会見で「フライングの発言であり、結論が出ていないのに出たかのごとく答弁したのはいかにもまずかった」と指摘したそうなのだ。
政府は平謝りで事態収拾を図るが自民党からも緩みを指摘する声があがり、与党が月末までに衆院通過を目指す平成30年度予算案の審議に影響を与えそうになっている。立憲民主党の辻元国対委員長は安倍首相がいつデータの不備を知ったのかなどを明らかにするよう求めデータを取り直して再調査すべきだと指摘した。共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で、「『働き方改革』の法案の根拠が崩れているに等しい。謝って済むものであれば苦労はなく、法案提出を断念することが、当然の謝罪の気持ちだ」と述べている。こうした情勢を受け安倍首相は自民党役員会で30年度予算案審議について「緊張感を持って、政府与党一体となって一日も早い成立を期したい」と述べ引き締めを図っているそうなのだ。
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