人事院は今年度に入省した国家公務員総合職の職員を対象に実施したアンケートの結果を発表しているが、調査は職員749人に行い99.6%が回答したそうなのだ。国家公務員としていつまで働きたいかとの問いに対し「長期間勤めてから転職を考えたい」は21.2%で、「条件が合えばいつでも転職を考えたい」が9.0%もおり、「若いうちに転職を考えたい」が2.0%だったという。一方で「定年まで働きたい」は46.2%で昨年の調査と比べて約1割減ったというのだ。「転職を考えたい」と答えた人が昨年度より5ポイント近く増えて3割に達したことに人事院の担当者は「民間の中途採用の意欲が高く、挑戦志向の人が増えているため」と分析しているが、官僚の不祥事が相次いだ影響については否定的な見方を示している。
全国の都道府県と市区町村が実施した職員採用試験の競争倍率は平均 6.5 倍で、記録のある 1994 年度以降で最低だったことが総務省の調査で分かったという。景気回復で民間企業の人気が高まり受験者が減っているためで、今年度の採用でも合格後の採用辞退も目立っているというのだ。少子化に歯止めがかからない中自治体の採用環境はさらに厳しくなりそうで、調査は事務職や土木などの技術職に警察などが対象で教員は含んでいないという。団塊世代の大量退職を補うため自治体によっては毎年度の採用者を少しずつ増やしてきたことも倍率を押し下げているが、合格しても民間やほかの自治体を就職先に選ぶ人も多く人材争奪戦が激しくなっているようだと総務省公務員課は分析している。
その都道府県と政令指定都市が来年度に採用する上級職の応募者数が前年度比 7 . 2 %減の 5 万 9801 人となり、 7 年連続で減ったことが新聞社の調査でわかったという。 37 都府県で前年度を下回っているが有効求人倍率が高水準で推移し民間企業の採用が活発なことが要因とみられている。応募者総数は秋試験分を除いて集計したものだが、自治体からは「人材確保の競争が官民の間だけでなく、国や他自治体との間でも厳しさを増している」との声も上がっているそうなのだ。応募者大きく減ったのは山形県の 25 . 5 %減や群馬県の 24 . 7 %減だが、一方で公務員試験向けの勉強が不要な採用枠を設けた鳥取県では 18 . 2 %増で、積極的な広報活動を展開してきたという北海道は 17 . 6 %増となっている。
激しい競争を強いられる中多くの自治体が受験者確保に力を入れる。説明会や 1 次試験を東京会場で行ったり、応募年齢の上限を引き上げたりして受けやすい環境を整えているが、担当者は試験合格後の辞退者の防止も課題だと指摘している。合格者向けの交流会などを開いて不安解消につなげる事例があるほか、神奈川県や岡山県などでは知事が仕事の魅力などを直接受験者に伝えているという。採用活動を早めている民間に対抗し合格発表を前倒しで行うケースもあって、大半の自治体では同一日に 1 次試験が行われるが東京都や神奈川県などでは秋にも上級職試験を行う予定だという。公務員は くの人員を抱えていて人事異動は年明けから検討することなので直前のキャンセルでもでも春の異動には間に合うというのだ。
私の住んでいる愛媛県でも県内の自治体では特に土木や農業など技術職を求める傾向が強いそうで、愛媛県庁の人事課は「技術職が集まりにくくなっている」と話している。来年の入庁の採用で大卒者の総合土木職の退職者が20人を超えているのに18名の採用を予定したそうなのだが応募者数は19人だったそうなのだ。県内の市町村でも技術職の確保のため土木・建築・農業の実務経験者採用で教養試験をなくして受験のハードルを下げているという。「人材確保に苦慮している自治体は多い。人口減少が進み、採用環境は一段と悪化する可能性もある」と指摘されている中で、人材獲得競争が激化する中で各自治体とも企業との併願者や首都圏の学生の受験者を増やそうと躍起となっているというのだ。
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