滋賀県の県道で舗装面と L 形側溝との間に生じていた 5cm の段差で自転車が転倒し、乗っていた 60 代の男性が大けがを負った事故で、滋賀県は整備の不備を認めて 130 万円の賠償金を支払うことを決めたという。定例県議会で示談に関する関連議案を提出し今月の議決を経て示談が成立する見通しだというのだ。滋賀県内の10市では琵琶湖岸一周約200キロを自転車で回る「ビワイチ」が着実に広まりつつあって、滋賀の新しい観光資源として発信し各自治体がサイクリストの受け入れ体勢を整える一方で、参加者から「車が近く、危なかった」という感想も聞かれているという。国土交通省近畿地方整備局によると車道脇の約75センチに自転車の通行エリアを示してドライバーに注意喚起しようと走行環境の整備も求められている。
滋賀県は面積の約 6 分の 1 を琵琶湖が占め四方 を山で囲まれ北は冬に積雪があるし南は温暖な気候だというが、さらに人口も 140 万人と全国の約 100 分の 1 を占めていることから日本の縮図のような地域だとされている。その滋賀県 高島市 の 県道 で、大阪府の当時 60 代の男性が 自転車 で 転倒 し、右手の甲の骨折や顔面裂傷などの大けがをしたそうだが、事故が起きたのは3年前の 6 月に自転車で琵琶湖を 1 周する「ビワイチ」の最中にけがを負ったわけなのだが、事故があった場所では 車道のアスファルト舗装が側溝の上面よりも 5cm 高くなっていたそうで、滋賀県によると男性はトラックが通り過ぎたときの風でバランスを崩し、段差にハンドルを取られ、よろけて車道から幅 50cm の側溝にそれた後に転倒したという。
車道のアスファルト舗装が側溝の上面よりも 5cm 高く車道に戻ろうとする際に段差を乗り越えられなかったそうなのだが、男性が乗っていたのは、タイヤが細くて段差で横滑りしやすい「ロードバイク」と呼ばれる自転車だった。舗装の陥没やくぼみや路面の凸凹・舗装部と未舗装部や側溝などとの段差にマンホールなどの突出などにより、車がパンクしたり二輪車や自転車が転倒したりするなどの事故だったというのだ。道路管理者の瑕疵の判断はケース毎の状況判断に基づき行われているため、どの程度の穴や段差が管理瑕疵を問われるかという答えはなさそうなのだが、何 cm 以上の穴や段差あれば「通常有すべき安全性」を欠いていて管理瑕疵になるのかという定量的な数値はないといわれている。
道路に穴や段差があったとしても被害者が通常の注意かより多くの注意を払っていれば事故は回避されていくわけなのだが、他の通行車が危険を回避して通行しているなかで 1 件だけ事故が起きたということも多くあるというのだ。このように被害者にも落ち度があった場合は「過失相殺」が行われるという。過失相殺はケース毎に判断されるものなのだが例えば注意義務を怠ったという理由で 6 割の過失相殺をしている判決や、注意義務を怠っていたのに加えてスピードを出しすぎていたという理由で 7 ~ 9 割の過失相殺をしている判決などがあるという。反対に高齢者が道路上にあった工事用の測量ピンに躓いて転倒した事故では、道路管理者と工事施工会社に管理瑕疵責任が問われたケースもあるというのだ。
もっとも道路に穴や段差が生じて「通常有すべき安全性」を欠いた場合には、本来は直ちに補修することが望まれるのだが、それができない場合は「段差注意」とか「徐行」等の標識や赤色灯で注意を促すなどの措置が必要だとされている。事故が起こった場合は被害者と現地立会いをして状況を把握し記録するわけだが、裁判になった場合には「被害者の過失の度合い」だけでなく、「穴や段差の大きさ」や「穴が放置された時間」に「パトロール等の状況」・「被害の状況」などが問題とされることが多いためそれらを確認することが必要だというのだ。具体的には所属の組織に初動対応の事務要領などがある場合はそれにより状況を確認し、ない場合には現場の状況を確認して写真などの記録に残すことが大切だという。
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