横畠裕介 内閣法制局長官が国会で野党議員の質問をやゆした発言が波紋を広げているが、金子原二郎参院予算委員長が遺憾の意を表明し、横畠内閣法制局長官に厳重注意を求める事態に発展しているが、幕引きを急ぐ政府・与党に対し野党は引き続き横畠内閣法制局長官の辞任を要求していく方針だという。横畠内閣法制局長官は予算委で安倍晋三首相に答弁を迫った立憲民主党会派の小西洋之氏への答弁で、国会の行政監視機能は「このような場で声を荒らげて発言することまで含むとは考えていない」と述べ謝罪・撤回に追い込まれているのだが、「長官の職責、立場を逸脱するもので、誠に遺憾だ。厳重に注意を申し入れる」として金子参院予算委員長は予算委冒頭に横畠内閣法制局長官を注意したという。
「法の番人」であるはずの内閣法制局長官が安倍首相擁護のために民主主義や法治国家の根本原則をくつがえす答弁をおこなったということなのだが、横畠内閣法制局長官は自身の発言を「行政府にある者の立場を逸脱した誠に不適切なもの」と改めて謝罪し、「今後二度とこのような発言をせず、誠実に答弁していく」と釈明している。予算委で立憲民主党の杉尾秀哉議員に「辞めるべきだ」と指摘されたが「反省の上に立って職責を果たしたい」と辞任する考えがないことを明らかにしたという。内閣法制局は政府提出法案に憲法違反などがないか厳重にチェックする「法の番人」と呼ばれ、法律問題で内閣などに意見を述べる立場で、そのトップが憲法で「国権の最高機関」とされる国会に対し批判めいた発言をするのは許されないのだ。
きっかけは安倍首相の施政方針演説で明治天皇が戦意高揚のために詠んだ歌を引用したことを批判した小西議員に対して、安倍首相がまともに答えず施政方針演説で取り上げた内容を長々と説明しはじめたことだった。これに対し小西議員は「訊かれたことだけを堂々と答えなさい」と批判し、「我々は国民の代表として議院内閣制のもとで質問しますので、私の質問は安倍総理に対する監督行為なんですよ」と言い横畠裕介内閣法制局長官に「横畠法制局長官に伺います。『議院内閣制のもと国会議員が国会でおこなう質問は、国会の内閣に対する監督機能の表れである』。こうした閣議決定、質問主意書の答弁があるということを確認してください」として、国会の質問が民主主義国家の根本原則ということを確認したというのだ。
それに対して横畠内閣法制局長官の答弁は安倍首相を不快にさせるような質問は保護しないと言っているようなものであり、それこそ民主主義・法治国家を崩壊させ独裁制を実現させる意図があるとしか思えない答弁をしたということなのだ。横畠内閣法制局長官は検事出身で5年前に次長から長官に昇格しているが、安倍首相の強い意向を受け集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更に貢献したと言われている。安全保障関連法の審議では集団的自衛権が「限定」行使できるとの政府の主張について「フグは肝を外せば食べられる」とたとえて説明し物議を醸しているのだ。今回のことで横畠内閣法制局長官を「憲法の番人というより、政権の門番とか番人と言われている」と皮肉るマスコミも多いという。
国会関係者は「本来ならば野党は審議拒否して横畠氏のクビを取りに行ってもいい」と指摘しているが、立憲民主党の杉尾秀哉議員は予算委で「憲政史上に一大汚点を残した。辞めるべきだ」と迫ったそうだが、横畠内閣法制局長官は「十分反省しているつもりだ。しっかりと職責を果たしたい」と防戦に追われたという。政府は「絶対に辞めさせない」と横畠内閣法制局長官を擁護する構えだが、横畠内閣法制局長官は反省など少しもしておらずこれからも法律解釈によって民主主義を壊し安倍独裁をアシストするという動きを強めていくつもりなのだろう。与党も発言自体は批判するものの辞任は求めない方針で、自民党の加藤勝信総務会長は記者会見で「緊張感をもって」と苦言を呈する一方で「問題は決着している」と語っている。
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