今年は 衆参ダブル選挙の可能性が高いというのが多くの政治プロの見方のようなのだが、この見方を大いに高めたのが自民党の萩生田光一幹事長代行の発言で、 4 月 18 日のインターネット番組で 10 月に予定されている消費税 10 %への増税について、「景気回復がここまでしてきて、腰折れして、またやり直しになったら、何のための増税かということになってしまう。ここは与党として、よく見ながら対応していきたい」と語っただけでなく、「今までも消費増税は『やめたほうがいい』という意見もある。 6 月の日銀短観の数字をよく見て、本当にこの先危ないぞというところが見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかないので違う展開がある」と国民に信を問うような発言をしたというのだ。
日本経済はデフレから脱却していないとされるが、家計消費支出は 8 %への消費増税をきっかけに大きく落ち込んで実質賃金も増税前より落ち込んでいるという。消費税増税が家計をいっそう圧迫し消費を落ち込ませることは歴然としているとされ、増税をやめるとなれば国民の皆さんの了解を得なければならないから信を問うということになり、衆参のダブル選挙は G20 首脳会合があるので日程的に難しいが必要だというのだ。安倍首相はこれまで二度も消費税増税を延期し消費税を理由に解散総選挙を行っており、いずれも邪道だったと言われるが今回の安倍首相の意をくむ萩生田光一幹事長代行の発言の一番の核心は、増税延期などではなく本当の狙いは 衆院解散による衆参ダブル選挙 ではないかというのだ。
消費増税関連法では 2015 年 10 月に税率を 10 %に引き上げることを明記していたが、 8 %への増税時に駆け込み需要の反動で消費が落ち込んだことを踏まえ安倍首相は、引き上げを 2017 年 4 月に延期することを 2014 年 11 月に表明し解散総選挙に打って出た。 2016 年 6 月には新興国経済の落ち込みなどで世界経済が危機に陥るリスクを回避するという理由で、再び引き上げを 2019 年 10 月に延期してきた。一度目の延期の際、安倍首相は、記者会見で「アベノミクス解散」と命名し「アベノミクスの成功のために、消費税 10 %への引上げを 18 カ月延期する」と明言した。そのうえで「消費税の引上げ延期は野党がみんな同意しているのだから、選挙の争点ではないという声があるがそれは違う」と述べている。
安倍首相は 2016 年 5 月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議論を踏まえ、「世界経済は想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している」と指摘し、その上で「内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」と明言して、今年 10 月まで 2 年半延期すると表明したのだ。この際に参院選挙で「国民の信を問いたい」と述べ衆院を解散して衆参同日選を行う考えはないことも明らかにしたのだ。ところが安倍首相は再び消費税を理由に国民に信を問いたいとして衆院を解散する。その表明を行なったのが 2017 年 9 月の記者会見で、この際の理由を消費税の使い方の変更について安倍首相は「消費税の使い道を私は思い切って変えたい」として衆議院の解散を行ったのだ。
子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当し、あわせて財政再建も確実に実現する。そうした道を追求し増税分を借金の返済ばかりでなく、少子化対策などの歳出により多く回すことで、 3 年前の 8 %に引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できるとしていたのだが、来年には中小企業をほぼ 100 %確実に襲う災難があるのにその対策ができていないというのだ。その災難とは人手不足で、この人手不足に加えて来年度からは中小企業に新たな負担がのしかかってくることになっている。今年度から大企業向けに始まった残業規制の強化が来年度から中小企業にも適用されるということなのだが、この対策を含めて国民の信を問うとして7月に衆参ダブル選挙の可能性が高いというのだ。
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