定年後で年金だけの生活になると「貯金が大切だ」という話はよく聞くのだが、実際のところ貯金の最終目標はいくらが妥当なのかというと、「 100 万円だと少な過ぎる」とか「 1000 万円でも心もとないかも」と言われるし、貯金の最終目標をいくらにすればよいかを分かっている人はほとんどいないという記事がある雑誌に載っていた。そこで貯金の最終目標をいくらにすべきかということなのだが、米国のアリ ― 銀行の調査によると「たくさん貯蓄をしている人ほど、幸福感が高い」ことが分かっているそうで、だいたいの人は「貯金が多すぎて困っている状態」ではないということのようなのだ。よほどのお金持ちでない限り「貯められるだけお金は貯めるべき」と言え幸福感が最大になる貯金額は 1 憶円だということのようなのだ。
1000 万円の貯金がある人は 100 万円の貯金がある人よりも幸福なのは想像がつくが、 100 億円の貯金がある人は 1 億円の貯金がある人よりも幸福なのかということなのだが、大阪大学の研究によると幸福感が最大となる「貯金額」を明らかにしているそうで、その研究によるとおよそ「金融資産 1 億円」で幸福度が最大となったことが確認されたという。 1 億円以上の金融資産を持つと金融資産が増えても幸福度は高まらない、もしくは幸福度が下がるということも確認されたそうなのだ。また「年収と幸福度の関係」についてでは「所得がある一定水準以上にあがると幸福度との相関が見られなくなる」とされ、アメリカの経済学者のリチャード・イースタリンらが調べたところ人間は所得より貯蓄に幸せを感じるらしいというのだ。
富裕層の「本流」はゆっくりと時間をかけて資産を形成してきた堅実な中高年の人々だと主張されているが、幸福度の観点から見ても高収入を目指すよりも、高貯蓄を目指すほうがよほど幸福に資することが調査からは読み取れるという。稼ぎを多くするより収入がそれほど高くなくてもせっせと貯めるほうが幸福に近づくということのようで、幸福度は純資産の影響が極めて大きいのに比して富裕層の場合は純資産の多寡はもはやあまり問題にならないということなのかもしれないというのだ。年収が幸福度に与える影響に飽和点が存在するように純資産の効用も限界効用が逓減していうということかということのようで、つまり富裕層の立場になったらいたずらに純資産額を膨張させていってもあまり意味がないということのようなのだ。
富裕層はどうすれば幸福度が高まるのかというと、ひとつは経済学者ロバート・ H ・フランクのいう「非地位財」にお金を使うことだという。非地位財とは他人が何を持っているかどうかとは関係なくそれ自体に価値があり喜びを得ることができるもので、例えば休暇や旅行だけでなく愛情や健康・自由・自主性・社会への帰属意識に良質な環境などだという。これに対して地位財とは所得や社会的地位だけでなく車や家など他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるものだという。もうひとつは幸福度調査でわかった「幸福度ランキング」のベスト 5 であるセックス・おしゃべり・夕食・リラックス・昼食に時間とお金をかけることだそうで、富裕層にとっては大した金額ではないのだがそれだけで幸福度は大幅に上昇する可能性があるというのだ。
また「金融資産 1 億円」で幸福度が最大となったことが確認されていることから、貯金額の目標を立てるときは一先ず「 1 億円」をゴールにしておくとよいというのだ。これ以上の金額を目指しても金融資産が増えたところで幸福感が高まらないので、金融資産が 1 億円を超えてからはお金よりも人間関係や健康に焦点をスイッチした方がよいという。しっかり働きしっかり節制する家庭であれば「 1 億円貯金する」という目標も決して不可能ではないそうで、 1 億円で幸福感が頭打ちする」という研究結果を見て貯金が果てしないものに感じてしまう気がして諦めずのではなく、貯金目標を立てる際は一先ず最終ゴールを 1 億円にしてじっくり計画を練ってみることが幸福度を維持する第一歩だということのようなのだ。
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