カフェインと睡眠ということでは「寝る前にコーヒーを飲むと眠れなくなる。だから就寝前に飲むべきではない」というのがこれまでの常識だったが、しかし昼寝に限ってはこの常識が大きく変わりそうだという。コーヒーを飲んで 15 分程度の短い昼寝をするとカフェイン効果で目覚めが良くなりその後の作業や勉強がはかどるという説が話題になっている。コーヒーを飲んで昼寝をすることを「コーヒーナップ」というそうだが、もともと昼寝前にコーヒーや紅茶またはエナジードリンクなどのカフェイン入り飲料を飲むと寝起きが良くなるという意見は国内外であったそうなのだが、大手コーヒーブランドが睡眠とコーヒーをテーマにした「ネスカフェ睡眠カフェ」をオープンしたことで「コーヒーナップ」の注目度が一気に高まっているという。
睡眠不足は眠気の原因となるが夜間に十分な睡眠をとった場合でも午後にはしばしば強い眠気が起こるという。午後の眠気は昼食と関連づけられることが多いのだが、昼食をとらなくても午後には眠気がおこるそうだが、食事の影響を取り除くために小刻みな時間間隔で少しずつ食事を与えた場合でも起こるという。このような理由から午後の眠気については食事そのものの影響は少ないと考えられており、このような午後の眠気を改善し快適な日常生活を送るための方法として、 15 分から 20 分程度の短い昼寝の効用についてはいつ昼寝をとるかによって異なるそうなのだ。午後の一番眠い時間帯に昼寝をとることができればいいのだが仕事をしていると好きな時間帯に眠ることは許されないのは当然のことなのだ。
それでも近年は昼寝をするだけでも仕事や勉強の効率が高まるという考え方が広まっているそうで、実際に短時間の仮眠を社員や生徒に推奨するケースも増えているという。大手ネットグループの GMO インターネットではオフィスの一角に昼寝部屋を設置しているそうだが、また寝具メーカーの西川リビングでは自社開発のピローを使ったお昼寝タイムを導入しているというのだ。兵庫県の加古川中学校では全校生徒が 10 分間の昼寝をする取り組みも行われているそうで、「コーヒーナップ」はこのお昼寝効果にコーヒーを組み合わせることで、その効果を一層高めようとするものだという。しかも仮眠習慣をもつ人の場合は昼寝の時間が長くても、昼寝による悪影響はほとんどないことが報告されているそうなのだ。
この「コーヒーナップ」は昼寝後の作業にどれくらい良い影響を与えるのかというと、これについては広島大学が行った昼寝と記憶テストの関連性を調べた研究が参考になるそうで、昼寝なしで記憶テストをすると成績が顕著に低下したという。次に、 20 分の昼寝後に記憶テストをするとこの低下率が改善され、さらに 200 ミリグラムのカフェインを飲むと眠気を感じる割合と記憶テストのミス発生率が大幅に減少したそうなのだ。この結果から「コーヒーナップ」は集中力が求められる業務やミスが発生すると致命的な業務を担当する人に適しているという。「コーヒーを飲んでから寝ようとしても、カフェイン効果で眠れないのでは」と言われるが、一般的にカフェインが吸収されるのは摂取から 15 ~ 20 分後なので眠りを妨げることはないというのだ。
それと高齢者における短い昼寝の効果についてだが、 65 歳以上の高齢者に 30 分の昼寝をとってもらうと午後の眠気が改善し覚醒度や作業成績も上昇するという。そのうえ毎日 30 分の昼寝をとると夜間睡眠も良好になることが報告されており、昼寝の最中には血圧が低下するそうなのだ。中高年が昼寝をすれば高血圧や虚血性心疾患の予防に役立つという報告もあるというのだ。高齢者における昼寝の習慣と死亡危険率との関係をみた報告によると、昼寝の習慣をもたない高齢者と比較して1時間以上の昼寝を習慣的にとっている高齢者では、死亡の危険率は 3 倍で 2 時間以上の昼寝をとっている場合では 14 倍に達しているそうだが、昼寝に限ってはこの常識が大きく変わりそうだという。
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