米軍空母艦載機離着陸訓練 の実施候補地の鹿児島県西之表市にある馬毛島について、政府と地権者側が約160億円の売買契約を結んだことが複数の政府関係者らへの取材で分かったという。米軍空母艦載機離着陸訓練とは空母艦載機が陸上滑走路を空母に見立てて発着訓練を行うもので、空母艦載機パイロットは空母が母港に戻ってしまうと空母を使った着艦訓練はできなくなってしまい、どんどん着艦の腕が鈍ってしまうという。それを解消するために狭い滑走路に着陸をする訓練を行うというのだ。日本本土で行われていたが騒音が激しいので暫定的に硫黄島に移されていたが、硫黄島は遠すぎて不便なので空母航空団が厚木基地から移転した岩国基地からも近い馬毛島で行うことになったというのだ。
この馬毛島は種子島の西約12キロに位置する約8平方キロの無人島なのだが、面積は 8.20km 2 で周囲が 16.5km とされ最高地点は島中央部の岳之越の 71.7m 、地勢は低くて平らな島だという。島には河川がなく地質は農業に適さず島内にはニホンジカの 1 亜種であるマガシカが棲息しているという。漁師がトビウオ漁の時期に 1-2 カ月ほど小屋に泊り込み、漁業基地としていた他は殆ど定住者はおらず、明治以降は牧場としての利用が試みられるが、太平洋戦争末期の1944年に旧海軍の防空監視所が設置され一時期無人島となったという。島の周辺は好漁場となっているが水源に乏しく農業に適さない土地であることに加え、害虫や鹿の農作物被害が増加し生活が困窮したため無人島になったという。
北海道の渡島大島に次いで 2 番目に面積が大きい日本の無人島となっていたのだが、空母の飛行甲板の代わりに陸上滑走路を使い空母艦載機が発着艦訓練を馬毛島で実施するというのだ。また政府は海上・航空両自衛隊の訓練も行い南西方面での有事の際には戦闘機配備などの拠点として活用することも検討している。馬毛島は過去に汚職の舞台となっており、立石建設およびその子会社である馬毛島開発の社長を務めていた実質的なオーナーおよび法人としての立石建設工業株式会社が、法人税 3 億 2 千万円を脱税したとして在宅起訴され、有罪判決を受けているなどの事情から、防衛省では島の敷地の買い取りを前提としていたが、地権者側はリースによる利用を主張していたそうなのだ。
黒毛島の土地の 99.6% を所有する馬毛島開発から商号変更したタストン・エアポートと防衛省の間で用地交渉開始の合意書が締結され、日米安全保障協議委員会において米軍空母艦載機離着陸訓練の移転先として馬毛島を検討対象とすることが共同文書に明記さている。日米両政府は硫黄島で暫定的に実施している米軍空母艦載機離着陸訓練の移転先として、馬毛島を選定したその後に、防衛省が馬毛島の大部分を所有する東京都の開発会社と交渉に入っていたというのだ。防衛省は土地価格を約45億円と鑑定したが地権者側は滑走路を整備したことなどを理由に数百億円規模を要求していたとされ、今年1月に160億円程度とすることで折り合いが付き、細部の交渉が続いていたそうなのだ。
米軍空母艦載機離着陸訓練 を実施するほか自衛隊の施設も整備し中国の海洋進出を念頭に置いた南西防衛の拠点とする方針で、今回政府は 160 億円で馬毛島を自衛隊訓練場として買収し来年の 3 月末までに取得することで地権者と大筋合意したわけだが、地権者は政官界に人脈もある人物だそうでこれまで馬毛島には多くの計画が持ち上がり、その度にそうした人脈を利用してきたと言われている。米軍空母艦載機離着陸訓練の候補地となるまでにその後地権者側の間で開発会社の代表権などをめぐる法的な争いが生じ契約ができず買収が不透明になっていると報じられ、地権者側から防衛省に対しいったん馬毛島の売却交渉の打ち切りを通告したが、政府と地権者側が約 160 億円の売買契約を結んだというのだ。
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