政府からの提言もあっていまは「働き方改革」が求められているが、大企業を中心に 45 歳以上に対してリストラの嵐が吹き荒れているという。今年の上場企業の早期退職者募集数は 1 万人を突破し年内にリーマン・ショック直後の数を抜くとの予想もされているが、余剰人員をはじき出したい会社としがみつきたい 40 ~ 50 代社員たちの実態というと、長時間労働や生産性についての議論もされているそうなのだ。現状を見るとまだまだ会社員は会社という組織を維持するために生産性を要求され、長時間労働を強いられていることが多いという。たとえば「働きアリ」と聞くと集団で一丸となって猛烈に働いているイメージを抱かれるかも知れないが、実際のところ一生懸命働いているのは全体の約 2 割にすぎないといわれている。
これは経済学の世界では「働きアリの法則」もしくは「パレートの法則」とも呼ばれており、ちなみに一生懸命働いている 2 割の働きアリが「全体の 8 割の食料を集めてくる」という。残り 8 割のアリは何をしているのかというと 6 割は普通に働き 2 割のアリは何もしていないという。一生懸命働いている 2 割のアリだけを集めると非常に効率の良い組織ができると思い、夢のオールスターのような「最強のチーム」の誕生を試みると、実際に一生懸命働いている 2 割のアリを集めてみるといつの間にか同じように働くアリと働かないアリのグループに分かれて、その割合は「 2:6:2 」に落ち着くという実験結果になってしまうという。逆に「働かないアリ」だけを集めた「最弱チーム」のグループを作ったとしても同じ結果になるそうなのだ。
組織とは効率だけを追求しても長続きしないものなのだが、よく会社組織にも言われる法則だが最後の 2 割に入れば即「リストラ予備軍」になる時代かもしれないというのだ。かつてのリストラは主に業績悪化による人件費削減という構図だったが、現在進行形で進んでいるのは業績がいいうちに使えない社員を切って組織を強化しようという動きになっているという。そしてそのリストラのターゲットになっている人数が多く人件費が高い 45 歳以上だとされ、調査会社による「自社に 45 歳以上のリストラ予備軍がいる」と答えた 人事担当者や管理職 100 人を対象にアンケートを実施すると、「自社のリストラ予備軍の特徴は」という質問に対し最多だったのは「能力不足でまかせられる仕事がない」という意見だったというのだ。
人事担当者や管理職 100 人を対象にアンケートによると「職級は高いが能力や意欲がイマイチで、取り扱いに困るベテラン社員が多くいる。特に役職定年後だと何をやらせれば有効活用できるのか微妙で、もともとは上司だったりするのでアンタッチャブルな存在になっている」と語っており、そして「リストラ予備軍が生まれる背景は」を聞いた結果でも、やはり「昔からの業務スキルが通用しなくなった」という意見が最多だったという。専門家も「今は産業構造が変わって昔の仕事のしかたが通じなくなり、ベテラン社員にとって武器だったはずの経験が、むしろ足かせになっています。大企業にはそんなバブル入社組が多く、これまで通りの退職勧奨では追いつかず、近年の大規模リストラに繫がっているんです」という。
「就業中に何をしているかわからない」だったように、戦力外社員たちは仕事すら振られず社内失業状態に陥る人も多いという。特に中小企業だと大規模リストラをするほどの体力もなく社内失業状態でも放置せざるを得ないという。「朝から退社するまで何をしているかわからず、誰も気にかけようとしていない」という社員が生まれてしまう裏には会社側の問題もあって、人事コンサルタントの平康慶浩氏は「まず、多くの会社ではいまだに年功序列の給与体系で、 40 代が一番高くなる形に設計されています。大半の会社では給料が下がる仕組みがない。だからパフォーマンスが低くてもほぼ年齢で給料が決まり、若手と比べてどうしても割高感が出ます。 それを変えたい人事は多いのですが」と語っている。
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