日本へのカジノ参入を目指す中国企業から370万円相当のワイロを受け取った疑いで、内閣府副大臣でIR担当だった衆議院議員の秋元司容疑者が逮捕された事件なのだが、一緒に贈賄側の中国企業本社などを訪れた自民党の白須賀貴樹衆議院議員も、企業側から接待を受けたり現金を受け取ったりしていた可能性があることが関係者への取材でわかったという。東京地検特捜部は白須賀議員を聴取し経緯を調べる模様だとされているが、関係者によると白須賀議員は秋元議員などとともに、中国企業「500ドットコム」の本社を訪問しているそうで、その後に広東省と隣接するマカオのカジノも視察しマカオで中国企業「500ドットコム」側から接待を受けたり現金提供を受けたりした可能性があるというのだ。
はたして捜査対象はどこまで広がるのかということでは、いま政界で出回っているのがカジノキーマンの「接待リスト」と呼ばれるもので、そこには自民党議員12人の実名が書かれているそうなのだ。カジノ汚職のキーマンとされているのが贈賄側として逮捕された中国企業「500ドットコム」顧問の紺野昌彦容疑者で、紺野容疑者は多額の現金を日本に違法に持ち込んだとされ、秋元容疑者に現ナマ300万円を手渡し北海道旅行の旅費70万円も負担しており、秋元容疑者はこの370万円をワイロとして受け取ったとして逮捕されている。紺野容疑者は今年の10月にザ・キャピトルホテル東急で開かれた中国の企業グループ「リレーチャイナ」を歓迎するパーティーに出席しているが、そのパーティーには自民党議員12人も参加しているという。
紺野容疑者は自身のブログに「次世代担う日本政治家の皆さんとの交流のお手伝いをさせて頂きました」とか、「12名の自民党衆参両議員の皆様も、ほとんどが既に大臣・副大臣・政務官と経験し、次世代の日本を牽引して行かれる皆様」とやや大げさに書き連ねているそうで、ブログには立食パーティーで和気あいあいと飲食を楽しむ写真がアップされ、「カジノ接待リスト」はこのブログをもとに作られたらしいといわれている。どういう経緯で歓迎パーティーに出席したのか代議士の事務所に電話すると政策秘書は「ある同僚議員の方に誘われて出席しただけです。『リレーチャイナ』という名前も知りませんでした。議員の名前それはご勘弁ください。お車代をもらったか、もらうはずがありません」と語っているそうなのだ。
今回の捜査がどこまで拡大するのか分からないが、飛び火するのではないかと囁かれているのが「大阪IR構想」で、問題になっている「500ドットコム」が保有するゲーミングユーザー6000万人のデータを解析し、依存症の事前予防に取り組むとアピールし、ギャンブル依存症対策の研究に着手すると発表したNPO法人の定款に記された2人の理事は、大阪市の夢洲地区へのIR誘致に向けた取り組みを進めるために大阪府と大阪市が設置したIR推進会議の委員に名を連ねていた人物と同じだというのだ。ひとりはIR推進会議で座長代理を務めたバリバリのIR推進派で、IR推進法案はこの座長代理が学長を務める大学の研究所員が起草した内容がたたき台になったとされているそうなのだ。
もうひとりは「会員数3万人以上の日本最大級のカジノ情報サイト」を運営する会社の社長で、この「依存学推進協議会」に名を連ねる幹部は特定の自治体の IR 構想に既に深く入り込んで行っているというのだ。このためカジノ参入に関わる関係者からは「500ドットコム絡みの捜査が大阪にも及ぶのでは」との声が上がっているそうなのだ。大阪府IR推進局によると「会議では委員が利害関係者と接触したり、誤解を持たれたりするような行為を禁じており、誓約書も書いてもらっている。両氏がそれぞれ『誤解を与えかねない』として辞任の申し出があって委員を辞任しており、大阪IR推進会議としては何らやましいことはありません」というが、来年からは本格的に国内の IR 誘致合戦が開始されるのにこの問題はどうだろう。
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