私も左利きなのだがいま左利きグッズが静かな人気を呼んでいるそうで、ボールペンや定規にフライ返しといった調理器具まで多くの日用品が流通しているという。小売店の中には品ぞろえのよさが口コミで広がりわざわざ海外からお客さんが訪れる所もあるそうだが、「左利きを矯正すべき、という考え方は時代遅れ」とか、「利き手にこだわらず、道具を使う楽しみを提供したい」と利用者は言葉に力を込めるという。文具メーカーのゼブラが全国の左利き 104 人に対し実施したアンケートによると「はさみやカッターが使いにくい」が 58% と最多で、更に「食事で左隣と腕がぶつかる」とか「お玉でスープがすくいづらい」などが続いており、生活雑貨ブランド「無印良品」を運営する良品計画も左利きグッズに特化した調査を行っているそうなのだ。
文房具も調理器具もほとんどが右利きの人向けに作られたものばかりで左利きの人が使いやすい道具にバリエーションが少ないという。ホームセンターなどでは左利き対応の製品が買える店もあるが一般的とは言えないのが現状だというのだ。文具メーカーのゼブラが全国の左利きに対し実施したアンケートの約 3400 人の回答者中 8 割近くが、「左利き」または「左利きだが一部またはすべて右利きに矯正」という属性だったそうで、左利きの人向けに使用時に不満を感じる文房具を尋ねる項目では「定規」・「カッター」・「事務用はさみ」の順に名前が挙がったそうなのだ。特に事務用はさみについては「長年右手で使用することに慣れている。左手で使うと、かえって不便さを感じる」との回答もあったという。
どうやら書き物や事務作業・料理などに困難を感じるケースが多いようなのだが、ある会社では両開きのフタ付き筆箱や左右両方から目盛りが打ってある定規などどちらも開発前や製造各社に伝えた意見に沿った仕様があるという。「実際に反映されたかについては知らされていない」と苦笑しつつ使いやすさの追求に余念がないそうで、左用対策の取り組みを始めおよそ 20 年たったそうなのだが店の評判は口コミ等で広がり、全国から利用者が詰めかけているそうなのだ。わたしも左利きだったのを矯正されたので箸と鉛筆は右手だが、ハサミや包丁は左手で使いスポーツ関係は左手で高校時代はボクシングをしていたので「サウスポー」だったし、就職してからの草野球チームでも左投の左打でゲームに出ていたのだ。
一見右利きなので周りからは驚かれるが、消しゴムを左手で使っているのを「おかしい」と指摘されたこともあるのだ。右手に鉛筆をもって左手に消しゴムというのは合理的だと思うし、自分ではまったく気付いていなかったのだ。右手を使ったほうが便利な時は右手を使うしどっちでも良さそうな時は左手というように私自身は臨機応変に対応しているのだ。右利きの人も「気づいていなかったがスマートフォンは左手の方が操作しやすい」という人もよくいるし、利き手とは 100% 左右どちらと決まっているわけではなく、案外グラデーションになっているものではないかという。必要とする道具も人それぞれだが道具を使う面白さを誰もが実感出来る環境をつくりたいという思いから立ち上がったネットショップもあって、それが「左ききの道具店」だという。
左利きが矯正の対象と捉えられるようになったのは「日本左利き協会」代表でフリーライターの大路直哉氏によると、儒学の教えをまとめた「礼記」には「物心ついた子どもには右手を使って食べさせなさい」と書かれており、この思想が日本にも伝わり右手で箸を持つ習慣が広まったという。更に寺子屋を始め市井の人々向けの教育が普及した江戸時代以降に右手で筆を使う機会が増加し、箸と筆を持つ手が一致したことで「左利きはしつけがなっていない証拠」という考え方につながったという。戦時中の軍隊で『左手で銃を持つと上官に殴られた』という記録が残っているし、また「女性の場合、左利きが理由で結婚が破談となる」との言説も昔は広く共有されていたというが、そうした差別意識は時代が下り緩和されたと言えるそうなのだ。
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