新型コロナウイルス対策として持続化給付金の支給の遅れが指摘されていることについて、安倍晋三首相は閉会される前の最後の国会答弁で「申請する方にまったく問題がなくて、受ける側が怠慢で支給ができていないというわけではない。書類の中に問題があったのは事実だ」と語っていた。遅れの原因の一つとして申請者の書類の不備を強調した格好だが、国民民主党の浜口誠氏が参院決算委員会で申請が始まった 5 月 1 日、翌 2 日に申請した人でも、まだ支給を受けていない例があると指摘したのに答えたというのだ。安倍首相は経済産業省側に何度も確認したとしたうえで申請者と連絡がつかなかったり、要請通りの修正がされなかったりした例があると説明し「相当丁寧にやっている。残ったのは少し」と語ったという。
この持続化給付金は新型コロナの影響で売り上げが減った中小企業を対象とし、最大 200 万円を支給する制度で、給付要件となる「売り上げの半減」を証明するのが難しいといった声が出ているという。給付を待つ申請者の多くは政府の対応に不満を持っており、大阪府で建設関係の会社を経営する男性は「何の音沙汰もなく、給付はない。不備のメールが来て修正し直して、その不備内容というのも、提出した書類で間違いはなかったので、結局、不備は一切なかったというか。同じ内容を送信したけど、何日か前に電話があって『審査完了しました』という連絡はあった」と憤慨していたが、この建設業の男性はコールセンターに問い合わせてもどこに不備があったのかは教えてもらえなかったという。
また手続き状況を照会しようとこれまで200回ほど専用のコールセンターに電話したがつながったのは1回だけで、その時も「個別には答えられない」を繰り返されたという。国も「手続きは委託先に完全に任せている」とつれなかったそうで、経営する施設はコロナ拡大に伴う外出自粛で休業を強いられ売り上げが激減したが施設管理のため従業員を休ませることができず、雇用調整助成金も使えないことから持続化給付金を運転資金にと思っていたが当てが外れ「金融機関からの借り入れなど別の手だてを検討せざるを得なくなった」という。持続化給付金の民間委託に関しての問題をきっかけに、おかしな協議会を介して経済産業省が多数の事業を広告大手電通に任せていた実態が明らかになっている。
大規模な業務を「仕切る」ノウハウがある電通と経済産業省の相互依存が浮き彫りになっているが、情報公開は十分とはいえず税金が適切に使われているのか疑問視されている。 梶山弘志経産相は書類不備の具体例として支給の基準となる売り上げの「前年同月比50%以上減」が資料で証明されていないことや確定申告の書類が不鮮明なことなどを挙げているが、梶山弘志経産相は持続化給付金事業の委託を巡る批判を踏まえ年内にも委託契約のルール見直し案を策定する考えを示しているが、持続化給付金事業は一般社団法人サービスデザイン推進協議会が七百六十九億円で受託し電通に七百四十九億円で再委託されており、野党は疑惑解明に向けた議論のために会期延長を求めているが政府・与党は応じなかった。
立憲民主党の蓮舫副代表 がツイッターに新規投稿を行い、コロナ対策の持続化給付金の支給が遅れていることについて、安倍晋三首相が参院決算委で「書類の中に問題があったのは事実」と申請者側の方にも問題があったと述べたことを受け、「待たされている人の気持ちになぜ立てないのでしょう」と苦言を呈したていた。立憲民主党の蓮舫副代表は「昨日、持続化給付金支給が遅れているのは申請者に原因があるかのような安倍総理の答弁」と切り出し、「誤記入等の連絡もなく待たされている人の気持ちになぜ立てないのでしょう」と訴えた。さらに「行政監視、困っている方の声の代弁、必要な法案提出。国会を閉じる時ではありません」としていたが、閉会中の委員会審議ということで決着してしまっている。
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