健康を維持増進するためには運動は欠かせないものなのだが、岐阜市では誰もが気軽にできるウオーキングを通して健康で幸せになれるまちづくりをすすめており、ドイツの健康保養地で心筋梗塞や狭心症のリハビリだけでなく、高血圧症・骨粗しょう症等のための運動療法として行われているウオーキングが行われているという。疾病の緩和や予防のため山間部や森林などの自然環境の中で保養するドイツ発祥の気候療法で、自治体が「クアオルト」と呼ばれる保養地をつくり森林浴やウオーキングなどを開くという。健康促進による医療費削減のほか埋もれた観光資源に目を向けて地域活性化につなげる狙いもある。個々人の体力に応じて安全・効果的な有酸素運動として実践できるようにしているそうなのだ。
あらかじめ計測された野山のコースを指導者とともに心拍数・血圧・体表面温度を計測しながら歩くクアオルト健康ウオーキングは、自然の中での運動というだけでなく歴史や文化・食・温泉など様々な要素と組み合わせ、そのエリアならではのプログラムを作れるところが魅力というのだ。野山などの自然の冷気や風・傾斜地形を活 用しながら、個人の体力に合わせた運動強度で安全・効果的に歩く運動方法は、発祥の地ドイツで心臓のリハビリや高血圧の治療に利用されている気候性地形療法を基本としているという。日本では保健指導や健康教育に取り入れたり、温泉や薬膳料理などと組み合わせたりヘルスツーリズムの試みが始まっており、個人の体力に応じた無理のない歩行でリスクをコントロールするのが基本となっている。
最初はゆっくり慣れてきたら上り道で心拍数を計測し歩く速 さを調節し、 3 回の休憩ごとに手首に指を当てて 15 秒間の脈をはかり 4 倍にして 1 分間の心拍数を計算する。数値の変動を見ながら高低差のある約 3 キロのウオーキングコースを 2 時間半かけて歩くという。ガイドの渡辺之博氏によると目標とする心拍数は 160 から年齢を引いた数値で、坂道を歩くとどうしても心拍数は上がってしまうが「毎日歩いていると体も慣れてきて数値の変動が小さくなる」と話している。日本クアオルト研究所の小関信行所長は「森林などで直射日光を避け、冷気で体表面を冷たく保ちながら傾斜地をゆっくりと歩けば同じような効果を得られる」というが、目安は 30 分から 1 時間ほどの無理のない運動を週 3 、 4 日続けることとしている。
人生 100 年時代に向けていかに健康寿命を伸ばすかも自治体の大きな課題で、岐阜市では健康立市としてスマートウエルネスに取り組んでおり、クアオルト健康ウオーキングによって今ある岐阜市の歴史資産を巡りながら健康になれるというイメージができれば、県外から訪れる動機になり、観光で来た方に健康になって帰ってもらいリピーターになってもらうというのだ。交流人口の増加も期待できるクアオルト健康ウオーキングによって、公共交通の自動運転の実証実験も昨年からスタートさせ、観光するときに将来的にこうした自動運転の公共交通も利用してもらいクアオルト健康ウオーキングのコースのある岐阜公園・金華山にも JR 岐阜駅からアクセスできるといったことも考えているという。
温泉がある地域では温泉を活用したクアオルトが行われ海辺に近い地域では海風や海水を活かしたクアオルトが行われていつという。岐阜市でも公園内での走行実験を行ったところだが近年中に公道での実証実験をやりたいという。この「クアオルト」はドイツ語で「健康保養地」という意味で、ヨーロッパ全体で健康保養地の人気は高く、全宿泊者数の約 46 %を健康保養地等での宿泊者数が占めています。関係者は「1泊2日でなく、2泊3日、3泊4日と、滞在してもらって、市内のいろいろなウオーキングコースを体験してもらうこともできます。クアオルトの人気が高まれば、今あるコースだけではキャパシティを超えますので、様々な都市型のコースや自然のコースを増やして行ければと思っています」という。
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