にしわき眼科クリニック。

にしわき眼科クリニック。

2011.03.01
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カテゴリ: 手術全般
 さて先日の日記の続きです。怖い怖い「白内障術後眼内炎」の発症予防には、手術終了時に前房(ぜんぼう:目の中)に抗菌剤を投与するのが効果的であるという2006年のヨーロッパでの発表は我々白内障手術医に大きな希望を与えました。

 そして今回の論文で患者様に投与されたベガモックス点眼液は、

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 最新の第4世代フルオロキノロン系抗菌剤で、様々なばい菌をやっつけてくれる広域スペクトルと最小発育阻止濃度(MIC)を誇る、現段階で「眼科最強」の戦闘力を持つ目薬なのです。更に防腐剤無添加の目薬なのでTASS(中毒性前眼部症候群)のリスクも極めて低く、投与法も目薬をそのまま目の中に入れるだけという簡単さです。

 論文によると、ベガモックス0.1mlを前房内に投与するとその濃度は952μg/mlとなります。ベガモックスが眼の中でばい菌をやっつけてくれる濃度であるMIC中央値は3μg/ml以下なので、単純に考えると絶対に必要な濃度の300倍の濃さで手術終了時の眼の中が満たされることになります。これは凄いですね。眼の中の水(房水:ぼうすい)というのは自分で作っているのでだんだん入れ替わっていくのですが、それでもこの濃度だと術後最低5時間は安全なMIC濃度を保つことが出来ます。

 また別の報告では、このベガモックスを目の中専用のBSSという 液で10分の1の濃度に希釈して手術終了時に投与する(この場合は前房と言う部分を全置換)というやり方も紹介されていましたが、この場合でも濃度は450μg/ml程度と十分です。

 理論的にはこれらは眼内炎予防に驚異的に効果がありそうです。ただこの論文ではベガモックス投与の安全性を実証しただけで、その効果の検討はまさにこれからの課題ではあります。






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最終更新日  2011.03.16 17:24:58


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