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さて、緑内障患者様に頑張って定期的な視野検査をして頂くと、
上記のように緑内障の「進行具合」を示すグラフが作成できます。これをMDslope(エムディースロープ)と言います。MD値というのは年齢別の正常者との平均感度の差を数値化したもので、正常値は-2~2dB(デシベル)とされています。
緑内障が進行してくると、このMD値は段々マイナス方向に進んでいきます。分かりやすく単純化して言うと-2~-10dBまでが初期、-10~-20dBまでが中期、-20~-30dBまでが後期となります。
そしてこのMD値が-15dBを超えると視野障害で生活に不便が出てくるとされています。
ここで先ほどのMDslopeの話に戻ります。視野検査を複数回するとMD値が1年にどのくらい悪化しているか(=MDslope)が分かってきます。すると、その患者様が「いつ頃生活が不便になり始めて、いつ頃失明してしまうか」を推測することが出来るのです。
↑ この患者様は40歳で、現在のMD値は-4dBと初期の緑内障です。このレベルでは自覚症状は全くありませんが、MDslopeが-1dBとかなり進行の早い緑内障です。このままの状態で病気が進行すると仮定すると、51歳で日常生活が不便になり始め66歳で残念ながら失明してしまう、ということになります。
我々眼科専門医は、常にそれぞれの患者様の現在のMD値とMDslopeを認識しながら日々の診療に当たっています。「大丈夫ですよ」と言うのは、「今くらいの進行具合ならまず間違いなく一生元気に目を使って頂ける」と判断していると言うことですし、「うーん、目薬を変更・追加しましょう」とか、「申し訳ない、これは緑内障の手術を検討しましょう」と言ったら、「このままの進行具合だとちょっと困るので、更に眼圧を下げてMDslopeの悪化を食い止めよう」という意味なのです。
このように、定期的な視野検査をすることによってこそ、それぞれの患者様にぴったりのオーダーメード感覚の安心な治療方針を決める事が出来るのです。ですので、緑内障の患者様は是非視野検査に頑張って取り組んでくださいね。
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