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2006.02.26
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消えた探偵

~講談社ノベルス~

 入ってきた扉から出て、出てきた扉から入る。そうしなければ、異世界に飛んでしまう。そう信じ込み、生活のルールとしているスティーヴン。彼は、その能力を理解できない周りの人間たちから、強迫神経症と烙印をおされ、症例蒐集家アンソニーの経営する診療所に入所することになる。
 解離性同一性障害のクリス、統合失調症のアリー、不眠症のリー、心気神経症のエルザ、「多重恐怖症」のガイ、前向性健忘症のシルヴィ、躁鬱病のメイ。これらの患者のみならず、職員も精神的な疾患を抱えた人間ばかりが集められた診療所。
 ある夜、スティーヴンは、三階の一室で倒れた人間と血痕を目撃する。その直後、犯人に襲われ、彼は窓から転落した。命に別状はなかったが、入ってきた扉とは異なる場所から建物の外に出てしまったため、スティーヴンは、異世界に飛んでしまったと考える。
 その後、事件の現場を調べたが、血痕もなく、さらに調査を進めたものの、一向に加害者も被害者も浮かんでこない。異世界にきてしまったために、事件の性格が変わってしまったのではないか。自分が体験した事件は、窓から出てしまった後のこの世界では、将来起こることなのではないか。そう考え始めたスティーヴンは、被害者と加害者の見当をつけ、事件を未然に防ごうと奮闘する。

 あらすじはこのような感じです。んー、ふーんっていう読後感です。320頁、4時間ほどですね。正直残念です。
 上で書いたように、いろんな症状の方々がいる診療所。スティーヴンは被害者(あるいは加害者)の目星をつけるため、患者全員に話を聞いていきます。その中で、患者たちの症状、彼らが過去に体験した事件のエピソードなどが語られていきます。一人一節(一章)かけていくので、エピソードとしては興味深いし、症例もしっかり調べておられるんでしょうけれど、冗長な感じは否めません。
 不安神経症はいまはともかく、私の記憶には特別な意味をもって残っている言葉ですし、先端恐怖症は若干ありますし、私は高所恐怖症ですし。そのほかいろいろ思い出して、考えるところはありました。

 本書に書いてあったわけではないですが、自分を誹謗中傷する、もっとひどい言葉を投げかける声が聞こえる、というのは、本人以外にその声が聞こえなくても、本人には本当の体験として感じられているのです。ですから、「幻聴」という言葉自体に疑問を抱いている方もおられるそうです。
 …などなど、自分の体験を他人は共有しえない、とか、少数派を迫害する多数派、とか、こういった問題については興味深く読みました。死期を予知できる魔女の理論や、人形遣いの悪魔の理論などを読んでいると、運命論についても考えるきっかけになるでしょう。
 ミステリとしても、たしかに伏線があるといえばありますし、終章の出だしではやられた、と思いました。でもオチが…。唐突な感じが否めません。傍点がついていますが、読み進めている中で、そんなことは全く考えませんでしたし、全体の中の位置付けとして、傍点つけて強調するようなところかな、と思ってしまいました。
 被害者も加害者もわからない中、その両者を探り、事件を防ごうとする。こういう物語は私にとってははじめてですし、読んでいて不思議な感じがしました。





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Last updated  2006.02.26 20:55:54
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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