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2006.10.21
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頼子のために

~講談社文庫、1993年~

 文庫版あとがきによれば、この作品から新刊を出すのにどんどん時間がかかるようになったということです。法月さんにとって「転機」となった作品というんですね。
 以下、いつものように内容紹介と感想を。

 西村教授の手記―。西村悠史の手記は、8月22日からはじまる。前日、17歳の娘頼子が帰ってこなかった。朝まで待ったら警察に届けを出そうと思っていた。その矢先、警察から電話がかかってきた。頼子と思われる遺体が発見されたというのだ。
 その後、警察は調査が進むと死因などを報告してきた。しかし、なにか隠しているようだ。頼子の部屋を整理していると、産婦人科の診察券を見つけた。病院に確認してみると、頼子が妊娠していたことが分かった。
 妊娠の事実を隠していた警察は信用できない。頼子は名門女子高校に通っており、スキャンダルをおそれた高校理事長(その兄は代議士)から圧力がかかっているだろうから。悠史は事件を独自に調査し始めた。そこで、頼子と元担任―柊の仲が良かったことを知る。調べを進めるうちに、柊が頼子のおなかの中の子供の父親で、また頼子を殺した犯人だと確信が強まっていく。悠史は、柊を殺し、自殺を図ることを決める。 14年前に事故で不自由な体になった妻への愛情は間違いないものであったが…。
   *
 柊を殺し、西村悠史は自殺を図った。しかし、一命はとりとめる。

 学校側の代議士と、対立する代議士。その男が、悠史と間接的な関連があるなど、事件の背景に見え隠れする政治的問題。手記に認められた若干の違和感。西村悠史の人間像。西村頼子の人間像。調査を進める中で、綸太郎は事件の真相に至る。

 いたたまれないラストです。以下ネタばれなので、文字色を変えますね。(ここまで)。
 数年ぶりの再読になりますが、正直あまり印象に残っていませんでした。当時(最初に読んだとき)は派手なトリックが好きだったのでしょうね。たしかにこの作品は、殺人事件自体は一件だけだし、大がかりなトリックもない。ミステリとしては、地味な方かもしれません。けれど、冒頭の手記の矛盾点を暴きながら推理を進める過程はきれいで、トリックは派手でも内容のないミステリよりははるかに面白いです。
 また、本作では、前作『誰彼(たそがれ)』のように、法月さんの推理が新事実でころころ変わってそれを口にするようなこともなく、読みやすかったです(それは、新事実が分かれば考えが変わることはあるでしょうが、『誰彼』の法月さんはちょっとあんまりでした)。
 本作でも、法月さんの行動のいくつかは決してほめられたものではないかもしれません。読後感も良いとはいえません。けれど、物語としてはとても面白かったです。

ーーー
読書感想とは関係ないですが、少し日記じみたことを。
昨日、久々に風邪をひいてしまったようで、今日は一日自宅でゆっくりすることにしました。今日の最初の記事に書いた筒井康隆さん『にぎやかな未来』は、本当は昨日読了していたのですが、うっかりして、昨日の記事に書かずに今日の記事のままにしてしまいました。
風邪はずいぶん落ち着いたので、明日からまた勉強をがんばろうと思います。





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Last updated  2007.09.20 21:32:11
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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