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2007.01.29
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島田荘司『最後の一球』
~原書房、2006年~

 御手洗潔シリーズ最新作です。タイトルと帯の文句と謎の提示部分でだいたいオチは分かるので、ミステリとはいうよりも、友情物語とか、あるいはそのままスポ根ものとしての性格が強いですね。社会批判も興味深く、総じて、島田さんの作品はやっぱり良いなぁと思いました。安心して読めます。
 以上で感想は言い尽くした感じがありますが(短いですが、とても面白く読んだのはたしかです)、以下、読書メモの意味もこめて、内容紹介と、あらためて感想を。

 1993年。ロシア幽霊軍艦事件を終えて少ししてのことであった。御手洗たちのもとを訪れた一人の青年。彼は、自分の母親が自殺未遂をしたことを告げ、さらに自殺を企てないよう、御手洗に相談する。同時に青年が語ったお好み焼きおばさん(彼が働く美容院に、おいしくないお好み焼きを持ってきて、それで料金に代えようとする)に石岡は興味をもつが、御手洗は全く関心を抱かない。裏には、株式上場をとげながら悪質な手口で暴利をむさぼるサラ金(社名:道徳ローン)の存在があった。自殺未遂の女性が借金から逃れる手段はほぼないと御手洗もあきらめていたとき、思いがけない知らせが起こる。女性が、その道徳ローンから、彼女の債権を放棄し、彼女は一円も返済しなくてよいと連絡を受けたというのだった。彼女からの連絡とほぼ同時に、竹越警部から連絡が。サラ金企業の屋上で、いわば密室状態にもかかわらず火事が起こったというのだった。
   *
(以下、本作の主人公というべき、竹谷さんの経歴のような話になりますので、一応文字色を変えておきます。どきどきしながら読むという感覚を久々に味わったので)
竹谷の父は、道徳ローンの取り立てのため、自殺した。その後、彼は母親と二人で貧しい生活を送っていた。母親に苦労をかけさせないために、お金がいる。そのために、彼はプロ野球選手になると決意し、人の何倍もの練習をした。高校でもエースだったが、プロになる道はたたれる。彼は、社会人野球を続ける。全国の決勝戦で対峙した武智は、その後プロ野球入りすることがほぼ確定していた。武智のはからいもあり、竹谷は、契約金なしで同チームに入団することになる。当然二軍であったが、彼は監督からも見込まれ、さらに努力を続けた。


 以前、本書購入の記事を書いたとき、私はスポコンものは苦手なので、どれだけ楽しめるかどうか、というようなことを書きましたが、とても楽しめました。先にも書いた通り、この物語はミステリというよりも、竹谷さんと武智さんの友情と成長が大きなテーマなのですが、この先どうなるのかとわくわくしながら読み進めました。島田荘司さんの作品で、御手洗さんシリーズだからこそ手に取ったものの、普通にはまず読まないタイプの物語なのですが。

 いろんな記事に書いていますが、私は、読書は普段考えないことを考えるきっかけとしてもとらえています。そういう意味で、やはり島田さんの作品には考えさせられるなぁと思う一冊でした。





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Last updated  2007.01.29 15:05:07
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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