のぽねこミステリ館

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2007.02.09
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~講談社、2006年~

 『ウロボロスの偽書』『ウロボロスの基礎論』に続く、ウロボロスシリーズの第三作にして、おそらく最終作(?)です。前二作には登場していない(執筆時期からして当たり前ですが)京極夏彦さんが登場して、割と重要な役割を果たしているのが嬉しいです。話に聞く京極さんのイメージに近くて、なるほど、と思いながら読み進めました。とまれ、いつものように内容紹介と感想を。

 街を歩いていた僕―竹本健治に、ある男が声を掛ける。男は、南雲堂に務める南雲一範と名乗り、竹本に漫画の執筆を依頼する。仕事場として、南雲家の別宅である「玲瓏館」が提供されること、アシスタントとして絵心のあるファンの他、友達のミステリ作家・あるいは漫画家など、多くの人々の協力を仰ぐことが決められ、さっそく竹本は玲瓏館で執筆にかかる。
 スタジオとして借りたのは、玲瓏館二階の大部屋。館に仕えるリエンヌは、身のまわりの世話のほか、ブルー・ティーをふるまってくれる。最初にアシスタントとして訪れたのは、漫画家の河内実加と国樹由香の二人。その後、アマチュアの上原、斉藤、小出、大森、野村の他、編集者関連で遅塚久美子、東雅夫、北村一夫、ミステリ作家の綾辻行人、京極夏彦、篠田真由美、西澤保彦、竹本の友人の東海洋士、音楽家の南澤大介、評論関係の福井健太、千街晶之らが主に玲瓏館を訪れる。
 ところで、館にはいくつかの謎があった。廊下の壁に飾られた、「ヨハネの黙示録」を題材とした七枚の絵+一枚の絵。コレクション・ルームに陳列された、元素周期表、謎の図面の描かれた碁盤、テレジアという名の鉄の処女……。南雲の曾祖父の名前は南雲算哲。いくつもの要素が、玲瓏館と、小栗虫太郎の作品『黒死館殺人事件』との類似性を示唆していた。さらに、暗号めかした碁譜に、図書館の隠し扉。玲瓏館に集まるミステリマニアの人々が、それらの謎を解こうと頭をひねる中、ついに殺人事件が起こる。
 福井健太が、暖炉の煙突に突っ込まれて死亡したのだった。それは、『モルグ街の殺人』の見立てであるように思われた。

 その後もいろんな推理が展開されるわけですが、さらに古典ミステリになぞらえた事件が続く、という構成です。『偽書』と『基礎論』が複雑な構成だったのに対して(後者はあまり覚えていないですが、前者はかなり混乱してしまったのを覚えています)、本作はとてもストレートな作りです。
 講談社のメールマガジン「ミステリーの館」2006年9月号で、竹本さんが本作発売によせた言葉が紹介されているのですが、本作は『黒死館殺人事件』へのオマージュということです。その言葉を読んでいたので、作に『黒死館…』を読んでおいたのですが、それで正解だったと思います。もちろん、未読でも読めますけれど、読んで予備知識があった方が楽しめるとは思います。

 内容の方ですが、殺人事件の解明と、館にまつわるもろもろの謎を解いていく、という二本立てといえばよいでしょうか。どちらかといえば、後者の過程の方が面白かったです。天文学、暦学、音楽、囲碁にまつわる蘊蓄が披露される過程が楽しめました。ただ、囲碁の説明(碁譜の解明などでの)は、囲碁のルールを知らないと難しい部分もありました。もっとも、そこが理解できなくても楽しめるので、囲碁好きな方への挑戦というか、おまけと考えて読みました。
 実名小説というのが嬉しいウロボロスシリーズ。今回は、冒頭にも書きましたが、京極さんの登場と活躍が面白かったです。福井さんがどんな方なのかも気になります。前二作では、綾辻さんがけっこうかわいそうな役回りでしたが、今回の福井さんはとてもかわいそうに描かれていたので…。





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Last updated  2007.02.09 13:17:19
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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