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2007.08.21
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三つ首塔

~角川文庫、1996年改版初版~

 金田一耕助シリーズの長編作品です。それでは、内容紹介と感想を。

 昭和30年(1955年)から昭和31年(1956年)にかけて、私―宮本音禰を襲った血みどろの惨劇。
 発端は、両輪を失った彼女を育てている上杉伯父の還暦パーティの、少し前に、弁護士が音禰を訪ねてきたことにあった。アメリカで莫大な富をなした彼女の曾祖父の弟―玄蔵が、彼女に100億円の遺産を相続させたいというのだった。その際の条件は、高頭俊作という青年と結婚することだった。
 そして、上杉伯父のパーティでは、アクロバット・ダンスを披露していたダンサーが血を吐いて死亡、同じ建物の中で、高頭俊作を捜していた弁護士と、おとね・しゅんさくの相合い傘の刺青をした青年―高頭俊作も殺されていた。高頭が殺されている部屋には、私がつけていたクチナシの髪飾りが落ちていた…。
 事件の少し前に、私は一人の男と出会っていた。事件後、ショックで寝ていた私のもとを訪れたその男は、無理矢理私と関係をもったのだった。
 その後、高頭俊作の死により、音禰一人に財産が相続されることはなくなり、相続権をもつ一族が集められた。財産は、相続権をもつ七人に均等に分けられることになっていたが、もしも時期がくるまでに相続権をもつ人物が亡くなれば、それだけ、残った人々に残る財産が増えることになる。血みどろの事件がさらに続く可能性が高くなっていく…。そして、その集まりに、弁護士の助手として出席していた男は、私と知り合ったあの男だった。
 私は、その男と行動をともにするようになる。相続権をもつ女が殺され、私は関係者の男に監禁され…。しかし、私は再び男のもとに戻ることができた。


 宮本音禰さんの一人称で物語りが進みます。無理矢理体を奪った悪党であり、あるいは高頭俊作を殺した犯人かもしれない男 ―高頭五郎にして堀井敬三と行動をともにし、いくつかの事件現場に立ち会いながら逃げていた音禰さんは、金田一耕助さんの登場を警戒します。貧相な風采にして、名探偵だという金田一先生に苛立ちを抱きつつ、あるいは嘘をついて、彼と戦う姿勢をとる音禰さん。その他、関係者たちとのどろどろした戦いをなんとかくぐりぬけていくあたり、謎解き重視のミステリというよりは、サスペンス重視の物語ですね。
 いやはや、やっぱり横溝さんの作品は面白いですね。安心して読めます。
 音禰さん自身は、決して殺人に手を染めているわけではないので、後には、金田一さんだけが頼みの綱となります。本書では、音禰さんは基本的に男と行動をともにし、事件から逃げているので、金田一さんもそれほど登場しないのですが、音禰さんと男を救う金田一さんはかっこよかったです。素敵な探偵さんですね。

*表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。





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Last updated  2007.08.21 06:35:32
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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