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2008.03.12
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サテンのマーメイド

~集英社文庫、1990年~

 島田荘司さんの作品の中で、おそらく唯一のハードボイルドです。アメリカの西海岸を舞台に、私立探偵の「私」が活躍する…という、島田さんの作品としては新鮮な設定なのですが、そこに用意されている謎は不可解で、これぞ島田さん!と思わせてくれます。
 では、簡単に内容紹介と感想を。

ーーー
 サラ・マーメイドと名乗る女性からの依頼は、250マイル離れたサウスポイントまで2時間で行ってほしいということ。理由を話さない彼女の依頼を私は拒むが、そこに居合わせた<友達>のカイル・ライリーが、その役を買って出てしまう。私とカイルはレーサー仲間だったが、カイルは事故を起こしてしまって以来、酒に溺れるようになっていた…。
 そんな中、サラが戻ってこない、捜してほしいという依頼が、彼女の父親からもたらされる。彼女とカイルの足跡を追ってサウスポイントにやってきた私は、そこで男が車にひかれて死ぬという事故が起こっていたことを知る。犯人はカイルではないか…というその嫌な予想は当たるものの、その先には意外な展開が待っていた。
 私たちが住むノースロネガンで、その被害者をひいたという男が自首してきたのだった。250マイル離れた2地点で、わずかな時間の間に、男は二度ひき殺されていた…。
ーーー


 私立探偵の「私」のセリフもウィットが効いていますし、登場人物たちのアメリカン・ジョークも交えた会話がとても軽快で、読んでいて楽しいのです。
 サウスポイントの劇場の窓口受付のリンダがかなり良かったです。「私」との行方が気になりながら読みました。
 その他、私立探偵を毛嫌いしているサウスポイントの刑事さんも、「私」と友人のノースロネガンの刑事さんも魅力的で、生き生きしています。サウスポイントの刑事さんは嫌みな感じですが、それでも悪印象を抱くことがなかったのは、「私」の見方のおかげもあるのでしょうか。
 いかにもハードボイルド、という作品は読まず嫌いで、率先して読もうとはなかなかならないのですが、本書はとても面白かったです。
 上にも書きましたが、事件の謎も魅力的です。
 良い読書体験でした。
(2008/03/08読了)





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Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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