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2008.03.31
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悪魔の手毬唄

~角川文庫、1996年改版初版~

 言うまでもなく、金田一耕助シリーズの長編です。
 鬼首村に伝わる古い手毬唄に見立てた連続殺人。迷宮入りになった、23年前の事件の捜査に携わった磯川警部と、休養のために村をおとずれた金田一さんが、事件に挑みます。
 私はどうも、世間で評判が良い作品はなかなか読もうとしない傾向にあり(へそ曲がりなので)、本書も10年ほど前に読んだきりで内容もすっかり忘れていたのですが(見立ては別として)、これはすごかったです。
 ではあらためて、やや詳しい内容紹介と、感想を。

ーーー
 昭和30年(1955年)7月。ゆっくり休養しようと考えた金田一耕助は、なじみの磯川警備をたずねて岡山県を訪れた。
 金田一耕助の来訪を喜んだ磯川警部は、できるだけへんぴなところが良いという彼の希望にこたえ、兵庫県との県境に近い鬼首村を紹介した。その、亀の湯という旅館の女主人、青池リカの夫は、23年前に殺されているという。

 鬼首村は、もともと多田羅家が大きな勢力を持っていたが、由良家、仁礼家の二大勢力時代を経て、いまでは仁礼家がいちばん勢力をもっている。由良家の没落の理由が、23年前に村にやってきた一人の「詐欺師」で、青池リカの夫はその詐欺師を告発しようとしたところ、逆に殺されたという。ただ、その事件の捜査にかかわった磯川警部には、ひっかかる点があった。被害者の顔が焼かれていたことである。被害者―青池源治郎と、犯人―恩田幾三は、入れ替わっているのではないか…?
 一方、村では大きなイベントが準備されていた。近頃、グラマー・ガールとして人気絶頂の大空ゆかりが帰ってくるというのだ。その帰郷にあわせ、青年団はカラオケなどの大会を準備していた。ただ、ここにも不穏の種はあった。大空ゆかりは、23年前の「詐欺師」、恩田幾三の娘というのだ。

 金田一耕助は、亀の湯逗留中に、世捨て人のような多田羅放庵、仁礼家の当主嘉平らと交流をもつ。嘉平は、金田一耕助の活躍を知っており、どうも23年前の事件を再調査してもらいたい様子。一方放庵は、23年前の事件の際にわかれた5番目の妻からの手紙に喜んでいた。もう一度やりなおしたいという彼女からの手紙を嬉しそうに耕助に見せ、返事を代筆してもらう。
 そして、金田一耕助が用事で隣町に向かう途中、放庵の妻を名乗る老婆とすれ違う。…ところが、その女性はすでに死んでいるはずだという事実を知ることになる。

 そして、放庵は行方不明になり、由良家の娘は、滝壺で奇妙なかっこうで殺される。口にはガラス製の漏斗がつっこまれ、漏斗には滝の水をうけていた升から、水が注いでいた…。
 金田一耕助と磯川警部は、過去に扱った『獄門島』事件を思い出しながら、この奇妙な連続殺人事件に挑む。
ーーー

 岡山を舞台にした金田一耕助シリーズを読むのは久々ということもあり、いままであまり気にしていなかったのですが、登場人物がしっかり岡山弁で、地元民としてはとても嬉しかったです。「どげえもこげえもありゃせんがな」なんて、わくわくしました(笑)
 横溝さんの大ファンですので、横溝さんの作品はなんでも面白く読むのですが、生き生きとした村の人々や温かい金田一さん、磯川警部に気分がほこほこし、事件が繰り返されるにいたりゾクゾクし、犯人が分かり真相が語られる場面では涙するという、とにかく感動しっぱなしの読書体験でした。

 ところで、この事件以前に、金田一さんは『夜歩く』の事件を解決しています。実は『夜歩く』の後半で、舞台は岡山県に移り、その村の名前も鬼首村だったと思うのですが、そこはそれというところでしょうか…。

 なにはともあれ、面白かったです。


(2008/03/29読了)





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Last updated  2008.03.31 21:15:54
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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