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2008.08.22
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筒井康隆『朝のガスパール』


 朝日新聞朝刊で、1991年10月~1992年3月まで連載されていた長編です。新聞連載ということを活かして、読者からの手紙やパソコン通信での感想、提案を募り、それらを参考にして作られていくという、読者参加型の作品です。

 まずは、遊撃隊が、他の惑星で謎の生物と戦うシーンから始まります。なるほど、この手のSFかと思いきや、それは大企業の重役たちが特に熱中している参加型のゲームで。作中でのそのレベルの主人公は、貴野原さんと、部下の石部智子さん。貴野原さんの妻での聡子さん。特に、貴野原さんがその他の重役さんたちと<まぼろしの遊撃隊>の話で盛り上がったり、聡子さんを中心に石部さんも時に参加するパーティーシーンがメインになります。が、そうした作品を書いている作家の櫟沢(くぬぎさわ)さん(=筒井康隆さんの第三の自己)と編集者の澱口(おりぐち)さんが、投書やパソコン通信での感想・提案についてコメントしたり、批評したり、怒り狂ったりするシーンも時に挿入されます。
 いろいろ筒井さんの小説やエッセイを読んできて、その虚構性の追求という部分をとても興味深く思っているのですが、本作でもそれが追求されています。
 現実と『朝のガスパール』という作品の関係性と、貴野原さんたちの世界と彼らが参加して楽しむゲーム<まぼろしの遊撃隊>との関係性が相似していたり、上にもふれましたように作中で現実の投書への言及があるなど、これぞメタ・フィクションだとも思います。おそらく、リアルタイムで連載を読み、しかも投書をしていた方々は、本としてまとまった形で読むよりも、もっともっと緊張感や臨場感を味わえたのではないかな、と想像します。

 櫟沢さんによる怒りの罵詈雑言や、その中で展開される過去の文学作品への言及や批評、文学論などなど、こちらも大いに楽しみました。レベル4(貴野原さんたちの世界)、レベル5(ゲームの世界)などで進む物語自体も、とても面白く読みました。ある長編の人物も登場していて、その作品を読み返してみたくなったり(その作品も、ただただそのすごさに圧倒されたものです)。
 物語の終盤、第百五十二回あたり以降では、思わぬ感動をさせられました。特に、314頁の台詞にはやられました…涙。

 すごいです。
(2008/08/17読了)





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Last updated  2008.08.22 06:46:02
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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